15歳のとき「横浜・湘南オーディション」でグランプリを獲得、翌年から「CanCam」の専属モデルを8年つとめ、現在は女優として活躍している高橋メアリージュンさん。
実は中学生のころ、実家が経営する会社が倒産、長く貧しく暮らしてきたそうですが、それでもメアリージュンさんは自身が不幸だと思ったことはないのだと言います。実際、著書『わたしの「不幸」がひとつ欠けたとして』からも、現実から逃げず、まっすぐに向き合いながら、自分の足で楽しさをみつけて幸せに生きてきたことがよくわかります。そうやって生きてこられた理由は何なのかを、連載で紐解いていきます。
第1回のテーマは「仕事との向き合い方」。女優としてNHK朝の連続テレビ小説『純と愛』を筆頭に、名作ドラマで印象的な役を多く演じているメアリージュンさん。8月12日の放送で話題となったドラマ『緊急取調室 4thSEASON』(毎週木曜夜9時から テレビ朝日系列にて放送中)4話を入り口とし、「仕事との向き合い方」をお伝えします。
*記事には『緊急取調室 4thSEASON』4話のネタバレも含みます。ご了承ください。
演技に満足したことは一度もありません
私がオーディションに受かったのは15歳の時。その後、ファッション誌のモデルを始め、18歳で『CanCam』専属になりました。ありがたいことに私はものすごく現場に恵まれていて、女優として活動するようになってから、これまでにも映画『闇金ウシジマくん』シリーズや『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』など、素晴らしい役者さん、スタッフさんたちとご一緒させていただく機会がありました。そのたびに新たな発見や学びがあり、「もっともっと頑張らないと!」と、気持ちを新たにしています。
自身の演技については、正直「やり切った!」と満足したことは一度もありません。もちろんその都度全力で挑んでいますが、自分に100点満点をあげられたことは皆無です。それでも「我ながら今回は頑張ったなあ」とか「この撮影は辛かった……」といったように、持てる力をギリギリまで出せた時は、観て下さった方からの反響も大きいように感じます。
最近ですと8月に、天海祐希さんが主演を務めるドラマ、『緊急取調室 4th SEASON』第4話に出演させていただきました。私が演じたのは、片思いの勤務先の専務をガス漏れ事故に見せかけて殺したうえ、自ら死刑を望むエンジニア・橘頼子(たちばな・よりこ)。技術者としてのプライドと、一人の女性としての愛情が複雑に共存している、演じるのが非常に難しい役でした。

監督からも「台本を読めば読むほど難しいね、この役は」と言われていましたし、私自身も衣装合わせの段階から「どうやって演じよう?」と試行錯誤。なかでも一番高いハードルは「動機」です。私だったら「どれだけ相手が憎かろうが、なにも殺さなくても」と思ってしまうので。でも、私自身の気持ちはどうあれ、頼子がそう考える人間である以上、自分なりに彼女を理解して精いっぱい演じようと気持ちを切り替えました。