天海祐希さんの言葉に…

「死刑にしてください」と言うばかりで何も言おうとしない頼子は、天海さん演じる警視庁捜査一課の刑事・真壁有希子に、真相を話すよう追及されます。私も普段は出さない大声を出し、叫ぶようにして応戦しました。けれど最後、真壁刑事に「あなたを長い嘘から解放したいの」と言われた時は、張りつめていた気持ちがほどけて自然と涙が――。その言葉を発した時の真壁刑事の目が本当に優しくて、心の奥底の栓を外されて勢いよく想いが溢れ出しました。

クライマックスの場面では、泣いている頼子を真壁刑事がギュッと抱きしめてくれたのですが、その際、頼子も思わず抱き返そうとしています。でも結局そうはせず、上げた両手をそのまま下ろしてしまう。後になって周囲から「抱き返すのを止めたのは、台本通りなの?」と聞かれましたが、あれは台本にはない、計算ゼロの自然な演技でした。頭ではなく、頼子として体がそう反応したのです。

(c)テレビ朝日

演じる時は相手が天海祐希さんであることは忘れ、被疑者と刑事として対峙していました。でも、天海さんのことは昔から大好き! かっこよくて愛情深い、憧れの女優さんです。今回もやる前から、絶対に私の演技を受け止めてくれる、良さを引き出してくれるという、安心感しかなかったです。

実は撮影が終わった後、スタジオで天海さんと2人きりになる時間がありました。そこで天海さんから、ある励ましの言葉をいただいたんです。私だけの宝物にしたいので何を言われたかは秘密ですが、私は私のままでいいのだと肯定していただいたようで、胸がいっぱいになってしまいました。

その瞬間「これからの人生、この言葉があれば女優を続けていける」という思いと「今日、ここで女優を辞めてもいいや」という相反する思いがブワーッと沸き上がってきて。天海さんがスタジオを出て行かれた後、ベッドの上で(頼子はベッドの上で取り調べを受けていたのです)、「わー、もう、こんなん泣くー!!」と、ひとり浸っていました(笑)。

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