2021.09.25
# 企業・経営

「アジアNo.1アリーナを神戸に」“民設民営”で挑む新アリーナ計画に「勝算あり」なワケ

大島 和人 プロフィール

2021年春に完成した沖縄アリーナは公設だが、日本初とも言える“夢のアリーナ”だ。琉球ゴールデンキングス側が長い時間をかけて自治体側と対話した経緯があり、なおかつ防衛庁と内閣府の予算から得られる潤沢な補助金があった。公設で高質なアリーナを完成させた稀有な例だが、簡単に真似のできるモデルではない。

自治体には公共建築の基準があり、部局ごとの流儀がある。体育館は基本的に「スポーツ振興課」「健康増進課」「教育委員会」の管轄で、そういった部局に“見るスポーツ”のニーズを理解してもらうことは難しい。アリーナを市民会館、市民ホールの文脈で建てると、今度はバスケットボール、プロチームのニーズが反映されない。

また公が関わる大型建築には建築基準法とは別の基準があり、民間が発注する工事と比べて確実に高コストとなる。民設だからこその価値、経済合理性を利用者や市民は期待できる。

 

とはいえ機能と採算性の両立は容易でなく、さらに映像、ITといった新しい機能も最終的には陳腐化する。プロ野球でも30年前に最新鋭の球場だった東京ドームが今や手狭な旧型施設となり、改装を予定している。神戸の新アリーナも改装はあるにせよ、定期借地権の契約が終了する“数十年後”まで考えてプランを練る必要がある。

新アリーナは年間200日程度の稼働を想定して事業計画が組まれている。レギュラーシーズンはホーム戦が30試合で、ポストシーズンに進出すれば数試合は増える。加えて日数的にバスケ以上のシェアを占めるのがコンサートだ。先日は万博記念公園駅前の新アリーナ計画も発表されたが、関西圏は“ハコモノ不足”で供給が需要を満たさない状況が続いてきた。

渋谷は説明する。

「アリーナ、ホールで1万人前後の規模だと大阪城ホールとワールド記念の二つだけです。大阪城ホールも3年先くらいまで土日がすべて予約で埋まっているそうです。関西の大手プロモーターさんとは会話していますけれど、『こんな仕様にしてくれ』とだいぶ突っ込まれています」

株式会社スマートバリュー 渋谷順 社長

アリーナ側の投資で興行原価を下げられれば、プロモーター側とウィンウィンの関係となる。神戸市からはMICE、学会、展示会に使える仕様を要望されているという。当然ながらコンサート以外のイベント需要もある。

「例えばニューヨーク、ロンドン、上海などでやっている『スニーカーコン』というスニカーの祭典があって、累計100万人以上を集めたそうです。例えば出版社と組んで漫画イベントをやってもいいですし、コスプレイベントもできます。(アリーナの)パートナーであるドコモさんとeスポーツ大会を行うこともあるかもしれません」

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