改めて感じた「HIKAKINへの信頼感」

確かに大人としては、ぐうの音も出ない。では彼らは誰なら信頼できるのだろう。この人の言うことなら信じられる、っていうのはやっぱり親? 先生?

自分の親は信頼できるという答えがあった一方で「自分たちのワクチン接種も迷うというか先延ばしにして、私の意向を聞こうともしない親を見て、かなり信頼度が下がりました。医師や専門家がこれだけ詳しくワクチン接種の必要性を解説しているのになあ、って」とつぶやいたのは、自分はワクチンを打ちたいけれど家族が接種に消極的で切り出せないFさん(中3・女子)だ。

学校の先生の中にも、いまだに平気でウレタンマスクを鼻出しでつけて授業やる意識低い人もいる。そもそもあのマスク、洗いもしないで毎日使ってるんじゃね? って女子がウワサしてるよ」(Eさん・中3・男子)

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じゃあ誰の言うことだったら信頼できる? と聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

「う~~~~ん。HIKAKIN、かな」(Aさん)

やっぱりYouTuberか。さすが中高生のメインの情報源、YouTube。でも中学生界隈ではHIKAKINよりももっと人気がある若手のYouTuberがいるのでは? と思っていると「今、なーんだYouTuberか、って思ったでしょ」と鋭い突っ込みが入った。

仲間と真夜中までカラオケして炎上した有名YouTuberたちもいるけど、HIKAKINは違う。コロナが始まってすぐ自分の動画で『ステイホーム』を呼び掛けてたし、都知事と対談して俺たちが聞きたかった質問をいくつもしてくれた。何度かしてるけど、1億円とか大金をコロナ医療支援募金として寄付してたし。

YouTuberの中にはデマ情報で煽ったり、全然自粛してないダメな人がいるのも知ってるよ。でも、誰なら信頼できるか、俺たちはしっかり見てる。もちろん今後、HIKAKINがやらかしたら、きっちり批判もするし」(Aさん)

YouTube

実際に感染した人を治療したり支えている医療従事者の人たちの言うことは、聞く価値があると思います」(Cさん)

「『ワクチン接種すると死ぬ』とか言ってるお医者さんもいるのは知ってますけど、感染症の専門家や医師の多くは、SNSで攻撃されて炎上してもメゲずに、正しい情報を伝えてくれていると思います。とくにインスタでみんなの声を聴きたいといってくれた尾身さんは、尊敬しています。政府に近い立場でいろんなプレッシャーがあるのに専門家として『それでもオリンピックは開くべきでない』と言い切るだけでなく、若い人の声にも柔軟に耳を傾ける姿勢はすごい」(Dさん)

中学生は世の中に意見を言う機会がないだけで、今の大人たちのすることはけっこう見てますよ。反面教師が多いのは残念だけど。私たちが大人になって、社会の中心として働くのはまだ先のことですが、今の筋の通らない世の中は少しずつ修正していきたいと思います」(Bさん)

今回、子どもの声を気軽に聞き始めた私だが、子どもたちは想像をはるかに超えて、今の大人たちをきちんと見て考えているのに驚いた。大反省すると同時に、未来への希望が湧いた。私たち大人よりも中学生のほうが、よっぽどまっとうで筋が通っているじゃないか。

最初は口ごもったり、カッコをつけて無関心を装っている子もいたが、辛抱強く待っていると一様にいろんな思いや考えを語ってくれた。確かに親子間でまじめにコロナ禍をどう考えているか話すのは、思春期の子どもとはなかなか難しいかもしれない。でも私は、自分で息子や息子世代にこうして取材をするようになって、今までいかに息子たちの話を聞こうとしていなかったか痛感している。

今、大人たちはコロナに翻弄されて右往左往し、半ばパニック状態で、他人の話をきちんと聞けなくなっている。あちこちで諍いが起きたり、考えの違う人をSNSで口汚くディスってしまうのも冷静に人の話を聞けないことが理由ではないか。

新型ウイルスに旧来の社会体制や以前の予防法で立ち向かおうとして、大苦戦中の大人たちだが、ひょっとしたらそんな様子を冷静に見ている、人類の新型である子どもたちの声の中に、新しい世の中の仕組みやコロナに対抗しうるヒントが隠れているのかもしれない。

機会があったらぜひ、身近な子どもに聞いてみてほしい。「ねえ、どう思う?」と。

コロナ禍不満を感じているのは10代も同じだ。「大人だって大変」と言い捨てるだけでなく、10代の声にも耳を傾けてみてほしい。photo/Getty Image