プロシューマーの「公認化」の動き

2020年に韓国のゲーム会社NC SOFTがリリースしたアイドルファンのためのアプリ「UNIVERSE」には多くの事務所が参加しているが、アーティストの声をAIで合成して実際に電話するような雰囲気を味わえる有料のプライベートコールサービスがあり、恋愛シミュレーション的な項目があることや、アイドルの生の声をAI化することに少なからず反発が起こった(現在も言葉に制限はついたものの、恋愛的な要素は存在する)。

写真はイメージです〔PHOTO〕iStock

ちなみに、HYBEは今年アメリカのファンアプリベンチャー「fave」に出資しているが、このアプリはファンダムの中のインフルエンサーがある程度お金を稼げるシステムがあり、コミッションやインフルエンサービジネスが一般的なアメリカのファンダムカルチャーに特化してある程度の「公認化」を試みようとする動きと考えられる。

今年5月に韓国の政府機関である文化体育観光部と韓国国際文化交流振興院が出版した「2020韓流白書」によると、2018年度の音楽関連産業の輸出額比重は、日本(65.1%)、中国(19.8%)、東南アジア(12.3%)、北米(1.3%)、欧州(1.2%)の順だった。 韓国統計情報院による「音楽産業の主要国・大陸別輸出額の現況」によれば、直近で海外公演が最も盛んだった2019年度の音楽産業の輸出額合計は7億5619万8000ドルで、1位は日本(55.1%)、東南アジア(17.1%)、中国(15.5%)、北米(10.6%)、欧州(3%)と北米でのシェアの伸びは目立つが、全体では日本が50%以上を占めている

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アイドルという特性ゆえに、KPOPはストリーミングが定着している国でもセールスの比重が高いが、日米両国への音盤輸出額がほぼ2倍近く増えた(日本94%、北米117%の増加) 2020年は中国や東南アジア向けの数字にあまり変動がなかったこともあり、2019〜2020にかけての国別音盤輸出割合では日本向けが50〜60%、北米向けが10〜15%とそれほど大きな変動はなかった。2020年はパンデミックの影響でコンサートやイベントがほとんどできなかったことを考慮すれば、この金額の割合はほぼそのまま公式やIPコンテンツにどの程度実際にお金を払う人たちがいたのか、という数字でもあると言える。

白書の内容で特に印象的なのが、「韓国内での著作権認識の改善は重要課題」「特に国内を含む海外の一部国家で目立つ著作権概念の貧困が、クリエイター・エージェンシー・企画会社および製作会社の海外進出を妨げる障壁であるという点で国家レベルの対応ガイドラインづくり、不法流通遮断のためのモニタリングシステムの開発が切実な状況」という指摘である。

日本への輸出額割合の大きさは、日本でのK-POP人気の定着度を表していることはもちろんだが、日本で公式のIPコンテンツにお金を落とすファンが多いことを証明している。それは、日本のユーザーが世界的に見れば「ファン活動」における肖像権・著作権意識や、「公式にお金を落とす」という意識が高い方であるということでもあるだろう。

これまで、ある程度の著作権意識の放棄とともに世界的な認知度を上昇させてきたK-POPだが、様々なメディアへのIPビジネスの拡張や世界的なビジネスエリアの拡大と共に、IPビジネスの基盤となる「著作権」や「肖像権」に対する意識改革が行われるのは時間の問題かもしれない。

※編集部注(2021年9月27日):「2020韓流白書」に掲載された音楽関連産業の輸出額比重について、誤って2018年の数字を2020年のものとして記しておりましたので、訂正いたしました。ご迷惑をおかけした読者の皆様にお詫び申し上げます。