タリバン政権のアフガニスタンは本当に西側メディアの言うような「生き地獄」なのか

欧米の価値観が絶対ではない社会もある

ニュースからはわからないことも多い

アフガニスタンの首都カブールが陥落して、そろそろ1ヵ月になろうとしている。

米軍が唐突にアフガンからの撤退を宣言したため、それまで米軍に多くを依存していたアフガン軍は総崩れになった。軍だけでなくアフガン政府も同様で、ガニ大統領は無責任にも早々と逃げてしまった。「国内の混乱を防ぐため」と後で言い訳をしていたが、混乱は首都カブールの空港で十分に起こった。そして、まもなくNATO軍のアフガン退場、タリバンのカブール無血入城。そして9月7日、ようやくタリバン政府のメンバーが発表された。

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アフガニスタンに関しては、やはり20年間、派兵を続けたドイツでも、毎日いろいろな報道がなされている。

タリバンが政権を取ると、残酷な独裁政治が復活し、特に女性の人権が奪われる。こんな政権を許してはいけない。アフガンの民衆を助けよう。危険に晒されている人たちも、1日も早く国外へ退去させなければならない。アフガンに民主主義を! でも、どうやって? という辺りが主な論調だ。

しかし、何だかおかしい。NATOは20年間アフガニスタンを「助け」ようとして、今、それが失敗に終わったばかりなのではないか。最近のニュースは、コロナにしても、EUの財政状況にしても、カーボンニュートラルにしても、どれもこれも信用が置けない。だから、アフガニスタン関係の報道についても、私はかなり懐疑的だ。

まず、アフガニスタンは国が崩壊したわけではない。依然として独立国であり、政権が、米国の傀儡であったガニ政権から、超エキゾチックなタリバン政権に変わろうとしているだけだ。たとえ、そのタリバン政権が独裁政治を行い、女性を虐げるかもしれないとしても、アフガニスタンが主権を持った独立国であることに変わりはない。

 

そこへ、頼まれもしないのに助けに入るというのは、内政干渉ではないか。しかも、20年ぶりに勝手に出て行ったばっかりの今! アフガニスタンは植民地ではない。

ドイツや日本でニュースを見ている限り、アフガニスタン全体の様子はなかなかわからない。国民全体がタリバンの恐怖に怯えているように報じられるが、本当にそうなのか?

8月後半、アフガンの首都カブールの空港には、EUに行けるかもしれない千載一遇のチャンスを掴もうとした若者たちが殺到し、飛び立つ飛行機から振り落とされる人が出るほどの大混乱だった。しかし、その同じ時期、ニュースで映ったカブールの街では市場が立ち、人々が普通に出歩いていた(流石に女性はほとんどいなかったが)。タリバンが裏切り者狩りをしたり、女子を攫ったりというニュースは今のところ伝わってこない。

8月21日には、カブール市内で銀行が閉鎖されたため、お金を引き出せなくなった人々の困惑している様子が流れたが、言い換えれば、カブールではタリバンの入城した15日以降も銀行が機能していたということだ。もちろん、食糧不足やインフレの不安はあるだろう。しかし他方で、無差別テロがなくなるという期待も高いという。いずれにせよ、市民生活は続いている。

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