2021.09.12
# 就活

いま「遠洋マグロ漁師」になりたい若者が、少しずつ増えている「意外な理由」

YouTubeが密かに人気に
川本 大吾 プロフィール

3Kと都市伝説により、高齢化が進む

もともと漁業そのものが、きつい、汚い、危険といった「3K職場」の印象が浸透している。かつて1990年まで、十数年間にわたってマグロ漁船に乗って働いたという60代前半の男性は「とにかくマグロがたくさん獲れるときは、きつかった。50日以上休みなしで作業に当たったこともある」と振り返る。

さらに男性は、「(マグロを水揚げする)揚げ縄の最中、たまたま掛かっていたエイのヒレが指に刺さり、抜けずに3カ月痛くて仕方なかった。そのとき仲間は『指はあと9本もあるんだから大丈夫』とあっさり言われ、何とか仕事をこなしたよ」と話した。

30年以上前のことで、この男性も少々大げさに話している感じがするが、広い海での過酷な作業だけに、陸ではあり得ないようなアクシデントが起こることもあるのだろう。そうしたエピソードが、尾ヒレを付けて言い伝えられ、都市伝説としていまだ健在ということなのか。

漁港に揚げられた遠洋マグロ(筆者撮影・提供)
 

漁業に縁のない若者にとって、マグロ漁師という職業は、ハードルが高いのは無理もない。毎年新たな船員は多くて十数人。ほとんどが水産高校卒業生や近縁者に漁業関係者を持つ若者だという。

さらに「いったん船員として働いても、辞めて他業種に転職する人が多く、マグロ漁師として定着するのは年に5人いれば御の字」(同組合)。この結果、マグロ漁師の多くが60代以上の高齢者で、漁の存続には大きな不安が残る。

若者に向けてYouTubeでPR

こうしたマグロ漁の将来に関する厳しい状況を打開しようと、同組合は若手船員の確保へ向け、今春からYouTubeの活用に乗り出した。香川組合長は「われわれはこれまで水産高校でガイダンスを行ったり、HP上でマグロ漁の魅力を伝えたりしてきたが、都市伝説のような誤解と偏見を解消し、より広い若者層に(遠洋)漁業に興味を持ってもらうには、YouTubeが最も効果的ではないかと判断した」と話す。

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