2021.09.12
# 就活

いま「遠洋マグロ漁師」になりたい若者が、少しずつ増えている「意外な理由」

YouTubeが密かに人気に
川本 大吾 プロフィール

船上作業は、二十数人の漁師を3つのグループに分けて、マグロを獲る前の投縄(とうなわ)を交代制に。その後、マグロを船内に揚げて冷凍作業を終え、次の漁場へ移動するまで休みが取れることも説明している。ちなみに、けがや病気などの際は電話で専門医の診断を受けたり、万が一の場合には「ドクターヘリ」も呼んだりすることも可能だとか。

漁師へのインタビューでは、宮城県の20代後半の若手機関長が登場。数年前には航海のたびに仕事を辞めたいと思いながら、漁労長の先輩漁師などに支えられながら仕事の楽しさを実感し、責任感を持って船上での仕事にまい進している姿を伝えている。

動画に登場する29歳の若手機関長・吉田将伸さん(日本かつお・まぐろ漁業協同組合のYouTubeより)
 

イメージ一新し、若者の夢をかなえたい

今年3月末にスタートした動画配信。週1回のペースで更新し、7月までの総再生回数は2万回を超え、若者から大きな反響が出ている。出演している宮城県気仙沼市の漁業関係者には、電話で頻繁に問い合わせがあるなど、マグロ漁師の志願者が続々と声を上げているという。

「マグロ漁の悪いイメージがなくなり、憧れるようになりました。ぜひ、自分も挑戦してみたいです」――。若手志願者からはこんな反応が相次ぎ、配信から3カ月で船員内定者が3人。ほかにも海外の日本人留学生が「YouTubeを見て、将来の夢が決まったような気がします」と、帰国後にマグロ漁師になる考えを示すなど、前向きに話を進めている若者が、何人もいるのだとか。

内定者の1人で、9月上旬に静岡県の焼津港から初出航することが決まっている20代前半の男性は「動画を見て小さなころからの夢をかなえたいと思うようになった」と、北海道でのキノコ栽培の仕事から転職を決意したという。

キノコ栽培からマグロ漁に転じた新人漁師(筆者撮影・提供)

同組合では今後、実際のマグロ漁の様子を撮影し、配信する準備を進めている。早ければ年内にも、船員たちが力を合わせて大量の本マグロなどを水揚げする光景が見られることになりそうだ。YouTubeで都市伝説を払拭し、この先、次々と日本の新米マグロ漁師たちが、新たな伝説を創り出すに違いない。

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