夫の死後「財産分与」で揉めないための裏ワザ…遺言書の「書き換え」を防ぐためにやるべきこと
夫の死後、ひとり残された妻が困らないためにやるべきことはたくさんある。その一例を【前編】「知らないと大損する…買い手のない「夫の実家」をうまく売却する驚きの「裏ワザ」」で紹介した。後編では「遺言書」についての裏ワザを著す。
燃やして証拠隠滅
「実は父親が亡くなった時、遺品整理中にゴミ袋から破られた遺言書の残骸のようなものを発見しました。母に聞いても『何も知らない』と固く口を閉ざすばかりで……」(60代・男性)
残される家族のために遺言書を書いた。

これだけで安心するのは、大間違いだ。遺言書もただの紙に過ぎないわけで、破り捨てられる可能性もゼロではない。
「刑法では、遺言書を破れば私用文書等毀棄罪にあたります。しかし誰も見ていないところで燃やしたり、シュレッダーにかけられると、それが遺言書だったことの証明が難しい。『破り捨てたもん勝ち』で泣き寝入りするケースが多いのが実情です」(前出・橘氏)
遺言書の原本を残しておいても、捨てられたり、書き加えられたりする危険が伴う。そこで使うべきなのが、自筆証書遺言書保管制度だ。3900円で遺言書の原本を法務局に預かってもらうことができ、相続が発生してからは遺言書情報証明書という「写し」が交付される。
ただ、せっかく遺言書を用意しても、内容を無視される可能性は排除しきれない。
「ある独居老人の方は、自分が暮らす自治体と菩提寺に財産を寄付する内容の遺言書を残しました。ところが相続人である兄弟や甥、姪たちは『遺言書はなかったことにすればいい』と言い出したそうです」(前出・椎葉氏)
遺言執行者は、こうした事態を防ぐうえでも重要になるのだ。