2021.09.28
# 認知症

「認知症には監視でなく笑顔を」39歳で認知症と診断された私の見出した道

認知症の私から見える社会(13)
39歳でアルツハイマー型認知症と診断されて8年、全国を飛び回り、300人を超える認知症当事者と対話し続けている著者、丹野智文。彼だからこそ書けた当事者の「本音」、そしてよりよく生きていくための著書『認知症の私から見える社会』から注目の章をピックアップしてお届けします。
認知症当事者700万人時代を迎え、すべての人のすぐ隣にある世界をもっと知るために。

認知症当事者の力

私は認知症当事者からたくさんの言葉を聞いてきました。話ができないと言われている当事者とも話をしてきました。話をしていくうちに当事者の話を聞き出すこと(ピアカウンセリング)ではなく、自分の経験を伝えること(ピアサポート)がより大切なことに気づきました。

自分の経験を話していると不安を持った当事者は真剣に話を聞いてくれます。頭の中で「その話は私も同じ、それは私とは違うな」と考えることで自分の考えや想いが言葉となって出てきます。

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相談窓口に行くと、まず病名を訊かれ、困っていることを訊かれることが多かったです。病名を言うだけで一般的な症状に当てはめられて考えられてしまいます。困っていることを訊かれてもとっさに答えることはできないのです。

だからこそ、当事者が自分の経験を話して共感してもらうことが大切なのです。共感することで自分だけではない、他の人も同じ経験、同じ想いをしていることに気づき、気持ちが楽になるのです。みんな、なぜ自分だけがこんな病気になってしまったのだろうと思い続けているからです。

私だけではなく、たくさんの当事者がピアサポート活動をしてくれるようになりました。例えば幻視が見える当事者には、同じ症状の当事者に自分の経験を話してもらいます。すると不安の中にいる当事者は涙を流して共感してくれます。その時にどのような対策、工夫をしたのか、そんな話もしてもらいます。家族も当事者の話を聞いて、変わった行動の原因を理解してくれて涙を流すシーンを何回も見てきました。これが当事者同士のピアサポートの力なのです。

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