コロナ禍で、家賃の9万円が払えず「家なき子」になりかけた、24歳のネイリストの悲劇
最近増えてきた「トラブル」の相談
「困った入居者に退去していただきたい」
賃貸トラブルの訴訟手続きに多く携わっている私のもとに、このところ同じような相談が多く寄せられます。それは「困った入居者を出して欲しい」という家主からの依頼です。
その「困った」原因は、圧倒的に家賃の滞納。日本経済が、コロナ禍で疲弊しているいま、その中でも比較的若い世代の滞納案件が、増えてきた印象です。
相談口で家主は、切羽詰まった苦悩を吐き出します。
「こんな困った入居者に、一日でも早く退去してもらわないと。お願いですから、助けてください」

家賃収入を目的に、ローンを組んで収益物件を手に入れた家主は、滞納されてしまうと、たちまち手持ちのお金から月々の返済分を支払わねばなりません。
サラリーマンをしながら家主をされている場合においては、成功している方はごく一握りで、実際には毎月「今月はちゃんと支払われるのだろか」と不安で仕方がないという方が多い印象です。今回の相談者も会社勤めをされながら不動産投資をされている方でした。
「月の20日を過ぎた辺りから、寝られなくなってしまう」
家主歴の短い相談者は、気が休まる時がないようです。それでも私は、違和感を抱いてしまうのです。
そもそも入居者が「困った」状態になるのは、いったいいつからなのでしょうか。入居者は、ある日突然、家主を悩ます存在に豹変したのでしょうか。それとも実は最初から「困った」要素を持っていて、そこに気がつかずに、家主は契約してしまったということでしょうか。
実は、この部分をしっかり分析していかないと、今後も家主はトラブルから逃れることはできません。