「家賃収入はかんたん」の甘い言葉で、不動産投資に大失敗した、サラリーマンの悲劇
賃貸トラブルに詳しい太田垣さんのもとに、ある日「困った入居者に退去してもらいたい」という相談が入りました。借主はコロナ直前に地方から上京してきた、24歳のネイリスト。月々9万円の家賃滞納を繰り返し、気がつくとその金額は50万円にまで積み上がっていました。
ただ、この「困った」ケースは、一概に彼女だけの問題でもなさそうです。なぜなら家主も支払い能力があるかどうかの審査を保証会社に任せっぱなしでいたからです。ではなぜ家主、借主間でこのようなトラブルが起こるのか。その原因を探ります。
家賃保証会社の保証内容は千差万別
家主はこの物件を購入した時、どのような人が借りてくれるのか想像していなかったのでしょうか。若い社会人なりたての子が借りることに、疑問を持たなかったのでしょうか?
「そんなこと考えたことなかったです」
家主は私の質問に、全く予想していなかったのか驚いた様子でした。
「家賃保証会社の審査が通ったと聞いたので、それで安心していました」
家主自身は、審査を全くしていませんでした。社会人なりたての女の子でも家賃保証会社が保証してくれるなら、滞納があっても賃借人の代わりに代位弁済をしてくれるので安心だと判断したのです。それなのに保証内容は、確認していませんでした。

「3ヵ月分しか保証してくれないって、保証が切れる際に知りました。そこから毎月のように自分のお金で補填してきたので、気が気じゃなくて」
家賃保証会社もビジネスなので、過去に事故(滞納)があったかどうかを基準に審査していきます。加えて督促業務にノウハウも実績もあります。もし家賃の滞納があれば、督促して回収すれば大丈夫だと判断するのでしょう。
そのため『家賃保証会社の審査が通った』ことは、賃借人として『相応しい』わけではありません。それでも多くの家主は、自分で審査することなく家賃保証会社の判断に委ねます。その上、肝心の保証内容を把握することはありません。