——田口さんの人柄やゲーム愛が多くの人に知れ渡ったのは、やはりテレビ番組『勇者ああああ』がきっかけでしょうか。
田口:そうかもしれません。『ロックマンDASH』の魅力をプレゼンした回で、トロン・ボーンとの初恋を熱く語ったんです。ちなみにトロン・ボーンというのは、このゲームの敵キャラの女の子で、当時のゲームとしては初めてのツンデレだったんじゃないかな。とにかくそのツンデレ加減が可愛いらしくてゾッコンでした(笑)。
そのとき、僕のTwitterのフォロワーは600人。番組MCだったアルコ&ピースの平子さんにもめちゃくちゃいじられました。だけど、オンエア後には一気に増えて、そこから現在までずっと右肩上がりです。「この番組、こんなに影響力あったの?」って驚きましたね。
ゲーム大好きなスタッフがあえてお笑いをやる。そういう独自のバランス感覚が視聴者にもウケて、テレビ東京の番組の中ではファンの勢いが一番あったんじゃないでしょうか。スクウェアエニックスさんの1社提供番組なのに、スクエニさんのゲーム全然やらないですからね(笑)。でも、そこがまた面白いんです。

——この頃には独立がチラついていたんですか。
田口:いやいや全然。『勇者ああああ』のおかげもあって社内でも僕の認知度が上がってバラエティー番組への登用も増えましたし、その頃メインで担当していたスポーツ実況もちょうど楽しくなってきた時期でした。
気持ちが変化していったのは、外部の方からお仕事の話が舞い込み始めてからです。任天堂さんやスクエニさんからゲーム実況のお話をいただくようになったんですけど、そういった外のお仕事を受けるための社内調整に1年近くかかってしまった。
それ以降も、やりたいこととチャンスはたくさんあるのに実現までに時間がかかってしまう状況が何度かあって、もどかしさを感じることが増えてしまったんですよね。
だったら、いっそのことやりたいことを全力でやれる環境に身を置きたいと思って。それで退職を決意したんです。