最近よく耳にする「ジェンダー」という言葉。その本当の意味を理解していますか? その基礎となる定義を改めて学べば性別にまつわる様々な問題が見えてきます。

●教えてくれた人
加藤秀一先生
社会学者。1963年、東京都生まれ。明治学院大学社会学部教授。社会学的な観点からジェンダーを研究。著書に『はじめてのジェンダー論』(有斐閣)、『〈個〉からはじめる生命論』(NHK出版)、『〈恋愛結婚〉は何をもたらしたか』(ちくま新書)など。

“分類する側”と“分類される”側、
その相互作用が社会を変える原動力

FRaU 近年、「ジェンダー」という言葉をよく見聞きするようになりましたし、会話の中で使う人も多いかと思います。でも、「つまりそれってどういうこと?」と聞かれると、うまく説明できない部分もあります。

加藤 一般的に「ジェンダー」は「社会的性差」と訳され、「生物学的性差」を意味する「セックス」の対義語として、生育環境によって生じる性差、集団としての男女の違いを表すものだと説明されることが多いでしょう。

 

FRaU はい、それはよく聞きます。

加藤 でも実際にはそうした使い方だけでなく、「男らしさ」「女らしさ」のイメージや、「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という性別役割を意味したり、最近では単に性別を指すのに「ジェンダー」という言葉が使われることも増えてきました。

FRaU そうなんです! いろいろな意味が混在していて混乱しています……。

加藤 専門家も同じです。さまざまな意味を含む言葉だからこそ、その根っことなる定義をしっかりと理解する必要があるんです。

FRaU 難しそうです……。

加藤 私たちは日々、意識的であれ無意識であれ人間を男か女か、またはそのどちらでもないかに“分類”しています。それは行動を伴う場合もあるし、頭の中だけで行っている場合もあると思いますが、想像できますか?

FRaU 女性なら、同性とは手を繋いでも気にならないけど、彼氏や家族以外の異性とは手を繋がないとか、そういうことですか?

加藤 あるいは同性の友人は気軽に飲みに誘えるのに、異性の友人に対してはそうできないなどもそうですね。つまり私たちは日常生活のあらゆる場面で相手の性別を判断材料にしているということです。そしてそれが日々の生活や人間関係に大きな影響を与える要因になっているわけです。

FRaU う~ん、当たり前のような……。

加藤 なぜ当たり前だと思うのでしょう?

FRaU たしかに、誰が決めたんだろう?

加藤 「ジェンダー」とはまさにそういうことで、私たちが男か女かを分類し、それに伴って行動したり考えたりする際に基準としている社会的ルールのことを指すと私は定義しています。

FRaU 社会的なルール?

加藤 社会的規範とも言いますが、簡単に言うと「社会を構成するみんなが共有しているルール」ということです。

FRaU 暗黙の了解的な?

加藤 先ほどの、誰が決めたか分からないけど、疑いなく当たり前と思っていることの多くが社会的規範に支えられています。

FRaU なるほど! だとしたら「女は化粧するもの」「男が化粧するのはヘン」という感じ方とか、制服が「女子=スカート」「男子=ズボン」と決まっていることとか、あらゆることが思い当たります。

加藤 それらもすべて現在の日本の社会的規範の中にいる私たちが疑うことなく実践している“分類”のバリエーションです。