旅作家の歩りえこさんが、世界94カ国を旅していた当時を振り返り、現地で出会った人たちの様子などを綴っていただいているFRaUweb連載「世界94カ国で出会った男たち」。今年8月に歩さんが新型コロナウイルスに感染し、連載は一時休載していましたが、回復後、闘病中の様子をまとめてくださり、前回の記事でお伝えしました。

発症から2ヵ月経った今も後遺症が続いているという歩さん。今回は、コロナ闘病を経て考えた、予期せぬ病気やケガについて寄稿いただきました。今までの旅を振り返ると、突然、死を目の当たりにすることもあったそうで……そのエピソードを交えて、旅先、特に海外で気をつけるべきことなどをまとめてくださいました。

記憶力や集中力の低下…
今も悩まされるコロナ後遺症

8月上旬に新型コロナウイルスに感染し、発症から2カ月が経過した今でも後遺症が続いている

味覚はほぼ戻っているが、未だに嗅覚が殆どなく、一回だけ自分のオナラのニオイがあまりに強烈だった日があり、そのニオイを感じて思わず一人でニヤニヤ笑いが止まらなかった。「やった!ついに嗅覚が戻ったぞ」そう思いきや、その後にニオイを感じたことはなく、あまりにも強烈なニオイでもない限り、まだ嗅覚が鈍ったままだ。

 

嗅覚以外にも生活をする上で一番困っているのは脳の変化だ。俗に言う「ブレインフォグ=脳に霧がかかっている状態」が続いている。記憶力、集中力、判断力の低下が著しく、人と会話していてもなかなか単語が出てこなかったりして途中で会話が停滞してしまう。

パソコンに向かって文字を打っていても、集中力が続かずにすぐ疲れてしまうので、作業は今までの2倍以上の時間を要してしまう。倦怠感も毎日続いている状態で、一体こんな日々がいつまで続くのかと不安でなかなか眠りにつけなかったりもする

現在は後遺症外来に通院しながら、対処療法を続けていくしかできることはないが、焦らず1年後くらいに通常に戻っていればいいと、あまり深刻に考え過ぎないようにしている。考えても仕方ないことを考えるのは無駄なことだと思うからだ。

コロナによる肺炎で退院した後は、一時「離人症」と診断され、自分が現実に存在しているという感覚が失われてしまい、皮膚の感覚すら鈍かったが、今では地面を踏む感覚、物を触る感覚、時間を感じる感覚などあらゆる感覚が元に戻ってきている。

コロナ感染の治療のため、多くの時間も失ったし、以前のように働くことができなくなったことで経済的にも大打撃を受けたが……ひとつ良かったと思えることがあるとすれば、「生きることへの執着がこれまでよりも圧倒的に強くなった」ことかもしれない。

先月までは後遺症で抜け毛もひどかった。写真提供/歩りえこ