何を守り、何に怯えているのか

もう一つ、少し片山さんが少し感情的になられたように見えた瞬間がありました。私が7月の都議選で、自民党候補者の大部分がメディアによる候補者アンケートで、選択的夫婦別姓の導入への賛否を問う質問に「回答なし」だったことに触れた時です。別姓への考え方はその議員の価値観を象徴する大事なポイントなのに、回答なしでは有権者が判断できないと指摘した時のことでした。

私は都議選の取材を通して、この判で押したような「回答なし」の背景を考えました。選択的夫婦別姓・全国陳情アクションと早稲田大学が2020年に行った共同調査では約7割が導入に賛成しています。「自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」が35・9%で、「自分は夫婦別姓が選べるとよい」は34・7%。かたや「自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦も同姓であるべきだ」と回答したのは14・4%しかいません。調査は20代から50代が対象なので、若い層や現役世代は自分が選択するかはともかく、導入には賛成という人が大勢だということがわかります。

夫婦別姓制度については、選択肢を広げることに賛成する人が大勢いる Photo by iStock
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つまり世論はどんどん賛成に傾いているのです。都市部であればよりリベラルな考えの人が多いでしょうから、自民党の候補者はそういう世論も気にしながら、一部の保守層の支持も失いたくないという苦渋の結果の「回答なし」だったのでは、と思っています。

片山さんがこの話の時に少し感情的になられたのは、そういった世論の変化を敏感に感じられているからではないでしょうか。2020年末、反対派の猛烈な巻き返しで、第5次男女共同参画計画から4次計画まであった「夫婦別氏制度」の文言すら消えました。埼玉県議会議長には反対する自民国会議員50人から別姓に反対するよう求める文書まで送られています。結果的には、埼玉県議会は制度導入に向け国会審議を推進するよう求める意見書を賛成多数で可決しましたが、ここまでされるのは、世論の大勢が賛成に傾いていることを反対派の議員の方たちは誰よりも感じていらっしゃるからではないでしょうか。

番組でも言いましたが、私は今別姓が認められたからといって、雪崩を打つように別姓を選択する人が増えるとは思えません。調査を見ると、別姓を選択するのは3割ほどでしょう。私は別姓に対する議論はこの「3割」の人をどう考えるのか、という政治姿勢の問題なのだと思っています。少数派だから我慢してくださいというのか、少数でもつらく、不便を感じている人がいれば救おうとするのか。そうした個人を救うのか、「唯一無二の素晴らしい戸籍制度」と片山さんがおっしゃっる制度や伝統を守るのか。これは別姓制度に限らない話なのではないかと感じています。

何か折り合えるポイントはないのか、と思いながら1時間余りお話をさせていただきました。あの時間内にはまだまだ私も理解できないところもありましたので、また機会があればお話をさせていただければと思っています。

敬具

【参考資料】
新型コロナ 女性の雇用に大きな影響 解雇や休業は男性の1.4倍(NHK 2020年12月4日)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201204/k10012745251000.html

片山さつきの「コトの本質」女性の政治的自立心が日本を救う(毎日新聞 2019年3月13日)https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20190312/pol/00m/010/001000c

選択的夫婦別姓、7割が賛成 早稲田大など7千人調査(朝日新聞2020年11月18日)https://digital.asahi.com/articles/ASNCL3TYQNCKUTIL04S.html
浜田敬子vs片山さつき「夫婦別姓」を巡り大激論【MC:加藤浩次】出典/youtube NewsPicks