フィギュアスケート界を牽引するトップアスリート、羽生結弦さん。昨今のコロナ禍で本拠地カナダへは戻れず、ただ一人トレーニングを続け、昨年末の全日本選手権では5年ぶりの優勝を飾りました。圧倒的な強さと美しさを持ち、前進を続ける羽生選手に会いに、新緑あふれる杜の都・仙台へ向かいました。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
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自分にプレッシャーをかけるのは
必ずできると信じているから
スポーツでありながら美しさを求められる芸術的な側面を持つフィギュアスケート。一番必要なのは、こだわりと意識の高さだと語る。
「技の完成度と美しさを競う競技ですが、ジャッジするのは人間なので、いろんな価値観の人に届く演技でなくてはならない。こだわりと意識の高さを持っているからこそ努力を続けることができるんです。どれだけ自分を客観視できるかも重要で、表現したいことを優先するだけでは独りよがりの演技にしかならないと感じますし、見る人に何かが伝わることで初めてプログラムが完成する。ハッピーなプログラムなら、見た人が次の日からも頑張れたり、心が前に動くきっかけになればいいなと思う。切ないプログラムなら、その人の痛みや経験に寄り添えるものにしたい。まだ26年しか生きていないですけど、自分なりのストーリーや感情を表現したいなと思うこともあります。それは過去だけではなくて、未来への思いや、現在進行形で感じていることだったり、様々なんですけど」