長年、動物愛護の問題に取り組んでいる女優の杉本彩さんが主宰する『公益財団法人動物環境・福祉協会Eva』では、2020年7月からYouTube「Evaチャンネル」を開設し、動物とそれを取り巻く環境について、わかりやすく楽しみながら見られるコンテンツを提供している。そんな中でも人気の企画が「みんなの保護犬・保護猫 ビフォー&アフター!」だ。これまでの2回は視聴者からの投稿をご紹介した。
第3回目となる今回は、杉本家のビフォー&アフター。里親歴ン十年の彩さんがこれまで一緒に暮らした保護犬・保護猫たちの中からピックアップした衝撃ビフォー&アフターをご紹介しよう。
『多頭飼育崩壊に、劣悪な繁殖で悲惨な目にあった保護犬猫たちの驚くべきその後』
『悪徳な繁殖屋に猫虐待……人間不信だった犬猫たちはどう変わったか?』
劣悪繁殖場で犬生を諦めていた犬のその後
【小梅】
2010年に杉本家にやってきた小梅。その時、年齢はすでに11歳だった。それまで劣悪な繁殖場にいたせいか、ビフォーの写真はどことなく全てを諦めたような表情をしている。
「最初の頃は目に輝きがなく、声も出さず感情を表現できず、人が立ち上がる時のちょっとした音にもビクビクしていました。そして、座布団の上に上がるのを怖がっていたのです。繁殖場でずっと硬くて冷たい金網の中で暮らしていたから、肉球にふわふわした柔らかいものが触れるという経験自体がなかったのでしょう。この子のために用意したベッドにさえも絶対に乗ってくれませんでした。それで、まず敷物から始めて、少しずつ柔らかいものの上、という風に慣らしていって、ある程度の時間が経った頃に安心したのか、専用のベッドの上でもリラックスして気持ちよさそうに寝てくれるようになりました」
徐々に心を開いてくれるとともに、自分らしい振る舞いをするようになっていった小梅ちゃん。アフターの写真は目がキラキラと輝き、まさに笑っているような豊かな表情だ。
「きっと彼女本来の可愛らしい姿に戻ったのだと思います。ある時期からはワンワン! と元気に吠えるようにもなり、あ、声が出るんだ!とすごく嬉しくなりました。それからは、お客様が来ると大きな声で吠えるようになって(笑)」
足腰がとても丈夫な小梅ちゃんは散歩が大好き。年に一度の予防接種と健康診断では、その年齢と、太くてしっかりした足が、獣医さんを驚かせた。
「約10年間、一緒に暮らし、21歳で亡くなる少し前まで、毎日、散歩に出て、バンビのように走っていました。老犬と思えないほどジャンプ力もありましたし、もともと体の強い子だったのかもしれませんね」