教育格差を生み出す「性別」
「『生まれ』によって学力や最終学歴に差がある」。松岡亮二氏の『教育格差』(ちくま新書)*1 が話題を呼び、このことが広く知られることとなった。
ところで、この「生まれ」に「性別」が含まれることはご存知だろうか。日本の教育制度は男女平等であり、「性別」が不利益を生みだすことはないように思える。

しかし、筆者が担当する授業において「女子だから大学へ進学しなくてもよい」と、親族や時には教師から言われた経験をもつ女子学生が少なからず存在する。大学進学を目指す際、「女子」ということが「足枷」になるのである。これは筆者の周囲のエピソードに過ぎないが、大学進学に関するデータを見ると、大学進学率やそこへ至るまでのプロセスは「性別」による格差が存在する。

拡大画像表示
図1から明らかなように、短期大学を含む大学進学率に男女差はほとんどみられないが、4年制大学へ限定すると近年その差は縮小しつつあるものの、女子よりも男子の進学率が高い状態が維持されている。