10月19日に公示となり、31日に投開票という衆議院議員選挙。岸田内閣の閣僚に女性は21名中3人で、衆院議員では1割にも満たない。様々な意見を取り入れるためには多様な人材が必要なはずにもかかわらず、改正候補者男女均等法が施行されて初めての衆院選だが、女性を積極的に擁立しようとする動きは鈍い。

なぜ日本にはこれほど女性の政治家が少ないのか、ジャーナリストの浜田敬子さんが政治家たちへの取材やアンケートに答えた生の声をもとに背景を分析、先の都議選では女性の当選者が3割を超えた例をもとに、女性が少ない理由と、改善策をさぐる。

 

ジェンダーギャップ指数、政治分野は156ヵ国中147位

世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数。ここ数年は日本がいかに「ジェンダー後進国」かを突きつけられる数字として注目されています。2021年に発表された順位では日本は156カ国中120位。先進国では最下位で、アジアの中でも韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となったことは、皆さんもご存知のことでしょう。

この指数は経済、政治、教育、健康という4分野のデータから算出されますが、日本の順位を下げているのは経済と政治分野。特に政治分野は147位と、頭を抱えてしまうような数字です。まさに日本の女性政治家の少なさを端的に示しており、特に今回選挙を迎える衆院議員における女性の割合は9.9%(参院は22.9%)です。政治学者の前田健太郎さんは、このような状況を「女性のいない民主主義」と指摘しています。「民主主義国家であれば男性と女性、共に政治に携わるはず。日本では男性の手に圧倒的に政治権力が集中していて、このような国は他にあまり見ない」と。

ではなぜ日本ではこれほど女性の政治家が少ないのでしょうか?

10月4日に発足した岸田内閣は、首相を除く閣僚20名のうち3名が女性。菅内閣よりは1人増加しているが、先進国では最低の数だ Photo by Getty Images

日本では今男女ともに18歳から投票でき、立候補できる被選挙権も男女ともに同じ年齢です(衆院議員は25歳、参院議員や都道府県知事は30歳)。最近の国政選挙の投票率を見ても、男女で差はほぼありません。

しかし大きな差があるのは、候補者の数です。直近の2017年の衆院選挙では立候補した1180人のうち、女性は209人。女性に投票したくともそもそも自分の選挙区に女性の候補者がいない、自分が支持する政党に女性候補者が少ないという現実があります。

では、今回の衆院選ではどうでしょう。朝日新聞の集計(10月17日現在)によると、立候補予定者は1040人、このうち政党の候補で女性の比率は18.4%。主な政党の女性比率は自民9.7%、立憲18.3%、公明7.5%、共産36.2%、維新14.9%、国民30.8%、れいわ23.8%、社民60.0%、N党33.3%という状況です。

では、なぜ女性の候補者は少ないのでしょうか。背景には女性が立候補を躊躇したり、女性の立候補を阻んだり、議員になっても続けることを断念したりするいくつかの根深い要因があります。