リーマンショックの後はデフレであったが
スタグフレーションとはごくシンプルに述べれば、「不景気なのに物価が上がる」ということである。
不景気な時には消費意欲が落ちモノやサービスが売れないから、デフレ(物価が下がる)になるという説明はわかりやすい。日本が1990年頃のバブル崩壊後デフレから脱却できないのはモノやサービスが売れないからだと言われれば納得するであろう。
また逆に、好景気でモノやサービスがとぶように売れるからインフレになる(物価が上がる)と言われれば腑に落ちる。
たが、9月13日公開の「パンデミック後の世界で『ヤバいインフレ』が確実に起きるワケ」で述べたように、インフレやデフレの原因をきわめてシンプルにまとめると
1. 需要が多い
2. 需要が少ない
3. 供給が多い
4. 供給が少ない
の4つの要素の組み合わせになる。需要と供給はそれぞれ「買い手」、「売り手」と置き換えたほうがわかりやすいかもしれない。

そして、思い起こすべきなのは、日本の1980年代バブルである。
この時には株式や不動産を始めとするいわゆる「投資商品」の価格が急騰し、日経平均はピーク時に4万円近くに達した。だが、実体経済の物価はさほど上がっていない(バブルに浮かれた人々が購入した一部の贅沢品は例外)。不動産価格が急騰したのにその不動産を貸し出す家賃にほとんど反映されなかったのが象徴的な例であろう。そのため、不動産投資の利回りは極限(当時の金利と比較して)まで下がった。
1990年頃のバブル崩壊以降このような投資商品がどのようなすさまじい「デフレ(価格下落)」を経験したのかは改めて説明する必要がないと思う。さらに、不良債権処理などの重荷もあって不景気となり、実体経済においても長期にわたってデフレが続いた。
ただし、実体経済のデフレはバブル崩壊だけによって引き起こされたのではない。