「ソーシャルメディア有害論」が、アメリカで盛り上がってきた背景

インスタ利用は「喫煙」と同じ?
池田 純一 プロフィール

確かにこうした不手際を公表していないのは問題ではあるが、それでもまだ弁明の余地はある。しかし、Instagramの有害性についての秘匿は、これらとは質が違う。ソーシャルメディア自身が問題を起こしているからだ。

しかもその事実を秘匿していたというのは二重にまずい。ただの隠蔽行為である。その意味で、そのような「有害」なソーシャルメディアを、10代にも満たない子どもたちにまで利用を迫ろうとしていたことを伝える第6回の内容は、やはり第2回の社会的反響を踏まえてのものだったように思われる。

実際、今どきの子どもは大変だ。10代前半の子どもたちの、ソーシャルメディアに起因した苦悩と聞いて、最初に頭に浮かんだのは、ボー・バーナムが監督した映画『エイス・グレード』だった。13歳のイケてない少女が、ソーシャルメディアを通じて感じる不安や焦燥が描かれた作品だ。

可能性としては誰もが有名になれる機会を掴むことのできるソーシャルメディアに常時囲まれながら、ローティーンという多感な時期、迷いの時期を迎えることの過酷さを描いていた。この映画を見れば、すでに子どもたちには過大な心理的負荷がかけられていることがわかる。

 

「ソーシャルメディア有害論」の是非

Facebookは、今までも多くの公共的議論を呼び起こしてきた。フェイクニュースの流布やプライバシーの侵害、あるいは独占の疑いなど。それらについては、すでに各当局が対応に取り組んでいる。コミュニケーションサービスとしての規制はFCC(連邦通信委員会)が、独占や消費者保護の問題についてはDOJ(司法省)反トラスト局とFTC(連邦取引委員会)が担当する、という具合だ。

ティム・ウーやリナ・カーンといったFacebookの批判者たちがバイデン政権で当局の長に登用されたことについては、以前にも取り上げた

6月にFTC委員長に就任したリナ・カーン[Photo by gettyimages]

そのようなFacebookの法的取り扱いを担当する機関として、今度はFDA(食品医薬品局)が加わるのかもしれない。Facebookに限らずソーシャルメディアがもつとみなされつつある中毒性から、ソーシャルメディアを一種の薬物としてみなす方向もありえるということだ。

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