グローバル化が進んでいる現在、英語と同じように重要な世界の共通語といえるのが、“算数・数学”だ。算数は小学校の勉強で、親が一番気になる教科でもある。得意不得意によって力の差が出やすく、苦手意識を抱えている子も多い。そのぶん、小学生が「自分は算数が得意だ」と感じられることは、その子にとって大きな自信につながっていくはずだ。
算数が得意な子どもに育てるために、親ができることは何なのか。「子供を医者にしたい」という保護者に向けて、幼少期の能力開発や、小学校時代の環境づくりなどをサポートする、保護者のための教室『幼児教室ひまわり』で講師を務める柴田希世美さんに話を聞いた。柴田さんは、私生活では2人の息子を東京大学に進学させた母であり、長男は小学生のときに、算数オリンピックで金メダルを獲得している。
前編では、算数が得意な子に育てるために、未就学児から小学生時代にかけて柴田さんが親として心掛けていたことをお伝えする。

算数好きな子にするために心がけていたこと・年齢別
柴田さんのお子さんが算数オリンピックに積極的に取り組めたのは、そもそもベースに「算数が好き」という気持ちがあったからに違いない。子育てをする上で「算数が好きな子どもになるように」と、常に意識していたという先生に、未就学児・小学校低学年・小学校高学年の年代別に、ふだんの生活の中で心がけていたことを教えてもらった。
未就学児
「最初のとっかかりが、すごく大事だと思ったので、幼少期から自然に数や数字に興味を持ってもらうための声かけをしていました。部屋をちょっと見渡すだけでも、時計、カレンダー、リモコン、電卓と、数字って、日常の中にたくさんあるんですよ。たとえば、電子レンジの表示を見ながら『数字が変わっていくよね』と話しかけるなど、本当に身近なものを使って、子どもが数字に触れる機会を増やすように意識しながら生活していました」
身の回りに楽しい数字があることを知ってもらうと同時に、小学校に入った後の算数の勉強に欠かせない“量感”を養うこともポイントだった。
「日常生活の中で、長さや重さ、量、数などを常に意識させるようにしました。何かを見たときに『どっちが多い?』、『これはいくつあるかな?』、『何cmくらいだと思う?』といった問いかけをして、数や量の当てっこ遊びをしていたんです。また、子どもが解答を言いやすいように『これは3だと思う? 5だと思う?』など、選択肢から選ばせるような聞き方もよくしましたね。
ときどき私がわざと、とんでもない数字を言うと『お母さん、何言ってるの、それ全然違うやんかー』って、子どもが大笑いしたりして(笑)。そうやって気づかせることもたくさんありました。幼少期は将来のために種をまくような感じでしたね」