前編の「2億円で”投資物件”を買い「ローン地獄」に陥った、エリートサラリーマンの悲劇」では、不労所得を得たい外資系企業につとめるサラリーマンが、不動産投資をはじめたところ、実際には副収入を得るどころか家賃滞納で赤字補填をしている悲劇をお伝えした。
後編では、なぜこういった落とし穴に陥ってしまったのか? その理由を分析する。
まともな家主は手を出さない物件
家主は手放すことも考えているようなので、そのエリアで不動産業を営む親しい社長に聞いてみました。もし手掛けてくれるなら、信頼できる人に任せたいと思ったからです。すると驚くような回答でした。
「あ、そこは無理だね。場所も悪いし、可哀そうにつかまされちゃったんだねえ」
家主が望むローン残高と同額では、とてもじゃないが売れないとのこと。賃貸そのものとしても、トラブルが多い地区だと言うことでした。
管理会社として入ってもらえないかともお願いしてみましたが、「まともな会社は手を出さないエリア」ということで、それまでも断られてしまいました。

滞納者には裁判で退去してもらうことができましたが、家主は毎月の資金繰りで本業に集中できなくなってきたと嘆いていました。売るにも売れない、毎月赤字部分の補填、貸してもトラブルばかり、ローン残高は2億弱。
いつまでがんばれるのか……せっかく滞納者が退去したというのに、家主の表情は追い詰められていました。
不動産は投資ではなく事業
不動産投資において『利回り○%!』と謳われているのは、賃借人が入居しているというのが前提です。
空室になれば募集のための費用がかかりますし、その間の家賃収入はありません。退去すると、入居者確保のための原状回復費用もかかります。実はこの原状回復費用がくせ者です。
賃貸トラブルを専門に20年この業界に関わってきましたが、最近多いのが『ゴミ屋敷』です。いったいどういう使い方をしたら、このような汚れ方になるのだろうと驚くような汚さです。