日本の音楽にはもっと「批評」と「歴史」が必要だ…人気YouTuberがそう語る理由

みのインタビュー
柴 那典 プロフィール

何を語り、何を語らないか

――『戦いの音楽史』の執筆の動機は、どういうところにあったんでしょうか。

ロックの歴史の本を書くのは、昔からやってみたかったことで。ただ、アメリカやイギリスのロックやポップスの歴史を語るというのは、手垢がついた分野でもあると思うんですね。評価の軸が固まっている。だからこそ、何を語って、何を語らないかに重点を置いた執筆をやりたいと思いました。詳しい方からは薄っぺらいと思われる内容かもしれないんですけれど、逆にそこがミソで。何を語るか、何を語らないかという組み合わせとしては、今までにないものになっているのかなと思います。

――今仰った、語ることと語らないことの組み合わせとしては、どんな意識がありましたか。

わりと視点を広くとっているつもりですね。「ビートルズが出てきて〜」というポイントだけで語るんじゃなく、冒頭で音楽の三原則の話をしているんです。古典的なクラシックの音楽理論だと、リズム、メロディ、ハーモニーが音楽を音楽たらしめるとされている。でも、そこに20世紀は録音というテクノロジーが入ってきた。録音された音楽を聴く時代になって、音色という要素が加わったという説を提唱していて。そういう視点も入れています。

――ロックの歴史を辿る本は50年代や60年代から始まるものが多いですが、この本ではもっと以前までさかのぼっていますね。

やっぱり、音楽が好きで、そのバックグラウンドまで知りたいとなると、起源から語る必要があると思うので。ブルースとか、19世紀を跨ぐくらいの視点から始まったことが、今に至るまで連綿として続いている。起点としてはそういうところから始まるべきなのかなと思いました。

 

――本の刊行後の反響はどんな感じでしょうか。

ありがたいことに、思ったより売れたみたいです。あと、個人的な感覚としては「評論家」という肩書きでお仕事させていただく機会が増えましたね。自分でも不思議なんですけれど。

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