2021.10.22
# 為替 # 国債

高市早苗も財務次官も「見落とし」た、日本の「借金財政」が破綻しない最大の理由

日本は、ギリシアではない…
近藤 駿介 プロフィール

高市政調会長の猛烈な反論

この矢野事務次官による異例の寄稿に対して、政治家や専門家達から様々な反論が沸き起こっている。自民党の高市早苗政調会長は即座に

「(「バラマキ合戦」という指摘は)大変失礼ないい方だ」

「(日本の国債に関しては)自国通貨建てだからデフォルト(債務不履行)は起こらない」

と不快感を示したことは記憶に新しいところだ。

高市早苗政調会長[Photo by gettyimages]
 

この「自国通貨建てだから日本国債のデフォルトは起こらない」というのは、日本の財政赤字が拡大する中で「積極財政」を主張する政治家や学者の間で、財政支出拡大を正当化する理論として注目を集めている「現代貨幣理論(MMT)」に沿った発言である。

MMTが正しいか否かという議論は国民のほとんどには理解できないし、そもそもこの理論については専門家達のなかでも対立しているのだから、議論は彼らに任せるのが賢明である。

筆者は、「積極財政派」「緊縮財政派」のどちらが正しいかといった論争にも全く関心がない。それは30年以上の投資運用業務やファイナンス業務の実務経験を通して、不変的に正しい経済理論など存在しないことを身に染みて知っているからだ。

「不偏不党」の立場の金融実務人間には、矢野事務次官の主張も高市政調会長の主張も、理論として正しいかどうかより前に、自らの主張に都合のいい経済理論をつまみ出した不健全なものに映っている。

「国債=借金」の誤り

まず日本社会に根強くはびこっている大きな問題は、「国債=借金」と無条件に信じられていることだ。この見方は、半分は正しいが、半分は間違っている。こうした間違いが起きるのは「誰にとって」という部分が欠けているからだ。

国債は国が発行する借用書であるから「国にとって借金(負債)」であることは確かである。しかし、借金の出し手、つまり国債の保有者・投資家側から見れば国債は大切な「資産」であるという財務会計上の基本原則が無視されているのだ。

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