2021.10.22
# 国債 # 為替

高市早苗も財務次官も「見落とし」た、日本の「借金財政」が破綻しない最大の理由

日本は、ギリシアではない…
近藤 駿介 プロフィール

矢野事務次官も寄稿した文章の中でこのように「借金」という観点からその大きさについてだけ警鐘を鳴らしており、日本国債が「誰の資産になっているのか」という資産的観点からの言及は一切ない。これは財務省がこれまで繰り返してきた常套手段でもある。

日本国債の発行残高は2021年6月末時点で1223兆8705億円であるが、それが「誰の資産になっているのか」というと、86.8%が日本銀行を含んだ国内の投資家の資産になっている。特に期間が1年未満と短い国庫短期証券を除いた国債1056兆4141億円に限ると、海外投資家の保有比率は7.2%に過ぎず、「国の借金」である国債の92.8%は「国内投資家の資産」になっている。

この「国の借金」のほとんどを国内投資家の資金で賄えていることが、世界最大の借金大国と言われる日本が破綻していない大きな理由なのだ(https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf)。

ギリシャが財政破綻した理由

メディア等では「日本の財政状況は破綻したギリシャより悪い」と不安を煽るような報道が繰り返しなされるが、これも「誰の資産になっているのか」「誰から借りているのか」という視点を欠いた不十分な議論に過ぎない。

GIIPS諸国の国債海外保有率(平成24年度 年次経済財政報告より、https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je12/h05_hz030101.html)
 

「誰から借りているのか」という点からみると、現在の日本と2010年代に債務危機に陥った当時のギリシャとは全く状況が異なることが分かる。

日本国債の海外投資家の保有比率は7.2%程度に過ぎないのに対して、債務危機に陥ったギリシャの国債の海外投資家保有比率は70%以上だった。こうした国債の海外保有比率が高い状況は、ギリシャと同様に債務危機に陥ったポルトガルやアイルランドなどでもみられることである。

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