2021.11.06
# スポーツ

元日ハム・森本稀哲も苦しんだ、野球選手に襲いかかる「イップス」のリアル

大事な試合でも発症してしまった…
「イップス」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。突然自分の思い通りのプレーができなくなってスポーツの動作に支障が出ることを指し、数多くのスポーツ選手が苦しんできた。元日ハムの森本稀哲選手もその一人だ。新刊『イップス』から森本選手の高校時代の経験について、一部編集のうえで紹介する。
 

指にかかって強く投げられない

イップス経験者の話を聞いていると、その多くがプロに入って突発的に発症したのではなく、すでに高校、中学時代からその兆しが見えていたという共通点がある。イップスを発症させる、心理的要因でなく技術的な問題点があることが暗示されている。森本はすでに小学生からイップスらしきものを感じていたのだという。

2014年、西武ライオンズ時代の森本稀哲選手(ウィキメディアコモンズより)

森本は小学4年生から野球を始めたが、投げるときに指先がひっかかるなという感覚があった。中学で軟式野球部に入ったが、野球の強い中学だった。彼はショートを守り、ときに投手も務めた。ノックを受けると、彼の送球だけがとても緩い。

「僕だけがボールに指がかからなかったのですよ。いやかけれなかった、という方が正しいかもしれない。何でかと言うと、ぐっとボールに指をかけてしまうとどこへ投げてしまうかわからないという恐怖心があったからなんです」

全力で投げれば指にかかって暴投になってしまう。「指がひっかかる、ひっかけられない」とは専門的な表現だが、森本に言わせればこういうことである。

ボールを投げるとき、ふつうは人差し指と中指をボールにかける。この二本を後ろに返して、力を溜めてスナップをかけて投げる。森本の場合は、この2本の指に力を入れてしまうと、暴投になるような不安があって、強くかけられないのである。だがとくに小学生の頃から、大きな暴投をしていたというわけでもない。予期不安にとらわれたということだろう。

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