"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1868年の今日(10月26日、明治元年9月15日)、地震学者の大森房吉(おおもり・ふさきち、1868-1923)が生まれました。彼は日本の地震学の創設者のひとりとして知られています。
彼の業績としてよく知られるのは、自身の名を冠して呼ばれる「大森公式」です。

地震波には、伝わるのが速い縦波のP波と、伝わるのが遅い横波のS波があります。先に伝わってくるP波による揺れは比較的小さく、その後遅れて伝わるS波によって大きな揺れが感じられます。このとき、P波が届いてからS波が届くまでの時間を「初期微動継続時間」といい、この値から震源までの距離を求めることができるというのが大森公式です。
具体的には、初期微動継続時間(秒)に6から8程度の係数をかけることで震源までの距離(km)を求めることができます。例えば、小さな揺れが感じられてから10秒後に大きな揺れが感じられたとします。この場合、およそ70kmほど離れた地点が震源と考えられるのです。
彼はまた、同時の代表的な地震計である「大森式地震計」の考案でも知られます。これを用いて遠く離れたアラスカの地震を捉えることに成功したことは、彼の名が世界に知られるきっかけにもなりました。