韓国社会の貧困や格差を辛辣に描いている?

『イカゲーム』はよく、韓国の貧困や格差を辛辣に描いた作品だと言われます。日本の記事を見ても、そのように分析している人がすごく多いですよね。でもこれは資本主義の先進国なら必ず抱えている問題で、別に韓国に限った話ではありません。むしろこのドラマを通して私が感じたのは、韓国の経済的な成長です。国家が発展して先進国の仲間入りを果たしたからこそ、ドラマや映画のなかで「格差」が頻繁に描かれるようになったのです。

-AD-

そもそも少し前まで、欧米から見た韓国は「どこにあるのかよくわからない国」でした。それが自国でオリンピックを開催し、BTSが登場したことで状況が変わり、韓国に興味を持つ人、韓国のことを知る人が増えてきた。

最近、英語圏の国では韓国語でやり取りするのが流行っているようで、、ネット上では「Who are you?」を「nugu?(ヌグは韓国語で「誰」)、「ありがとう」を「thx(サンクス)」ではなく「gamsa(カムサ)」と表記するといった現象も起きています。それもこれも韓国のコンテンツが世界に広まり、人気を得た結果だと言えるでしょう。

10月16日に放映された「サタデーナイトライブ」では、オスカー俳優のラミ・マレックが『イカゲーム』のパロディを演じ話題に。photo/Getty Images
トルコでは『イカゲーム』内で使用された招待カードを若者の技能研修で活用。アジア圏だけでなくブームは世界的だ。photo/Getty Images

もう少し韓国の現状をお話しましょう。
もともと韓国人は投資好きですが、今や社会で上のクラスに上がるには投資が不可欠になってしまいました。投資先で一番人気があるのは不動産。なぜなら韓国は世界でも珍しく、不動産の価値が絶対に下がらない国だからです。「ソウルで不動産が一番安い時期はいつでしょう? それは今日です」という言葉がありますが、それは本当。買ったら確実に値上がりするので、誰もが賃貸ではなく、無理をしてもマンションを買いたがります。そして値上がりしたら売却して、もっと良いマンションを買う。そうやって資産を増やしていくのです。

政府も特に対策を取っていないので、30年前から「そろそろ不動産バブルは弾けるよ」と言われながら未だに弾けていません。サラリーマンのお給料は日本とほぼ同じなのに、今やソウルで普通に住めるマンションを探そうと思ったら1億5000万円以下で見つけるのは難しい。一番高い江南というエリアだと、物件価格は5~6億円(200平米あたり)にもなります。

『イカゲーム』は、お金に窮した人間と、お金があり余って退屈している人間がデスゲームをする話ですが、これは「資本主義社会の縮図」だという見方もできます。現実の世界でも、持てる者と持たざる者の格差は広がるばかりです。世界各地で1位を記録したのも、そういった世界各国の共通の問題をこの作品から感じた人が多かったからとも推測できますね。