「カクトゥギ」という韓国ならではのシステム

ソウル大学卒のエリートだったのに、先物取引の失敗で莫大な借金を背負ってしまったギフンの幼馴染みのチョ・サンウ。彼は第2話で練炭自殺を試みますが、海外には練炭を知らない人もいて、「あの卓上コンロの上に乗った黒いかたまりは何だ?」と不思議に思ったようです。

これは着火炭(ちゃっかたん)というもので、着火剤のように火がつきやすいものです。またもや余談ですが、韓国ではタレントが練炭自殺をして以降それを真似る人が増えたことから、現在では有名人が自死をしても詳細を報道することは控えるようになりました。

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また、脱北者のカン・セビョクが出てきますよね。韓国では、脱北者に対して最低限の社会保障はあるものの、それだけで過酷な競争社会を生き抜いていくのは難しい。しかも脱北者は、何か理由があって南に来たのではとスパイ行為を疑われ、四六時中監視されています。彼女も一緒に脱北した幼い弟と暮らすために、大金を得ようとゲームに参加していましたね。今の韓国社会は、大卒というだけではいい仕事に就けない人もいます。そんな社会構造の中では、学歴もない脱北者の生活は本当に厳しいのです。

中央が脱北者のカン・セビョクを演じたチョン・ホヨン。モデル出身の新人で注目が高まっている。出典/チョン・ホヨンInstagram(hoooooyeony)より

最後に、ドラマのポイントではないかと思う言葉についてちょっと説明をさせてください。ドラマのなかで「カクトゥギ」という言葉が出てきます。この「カクトゥギ」は韓国ならではのシステムで、チーム分けの際に余ってしまう弱い人を「仲間に入れてあげること」をさします。他に、大人のサッカーチームに子どもが1人混じってプレーする機会があったとして、その子だけは手を使っていいよといった感じでアドバンテージをあげる、みたいこともカクトゥギになります。

ドラマ内に出てくる『カクトゥギ』という言葉は、大根のキムチの「カクテギ」が語源だ。photo/iStock

ちなみにカクトゥギは、皆さんおなじみのカクテギ(大根のキムチ)ですが、韓国語での発音は「カクトゥギ」に近いです。これはキムジャン(大量にキムチを漬ける韓国の初冬の行事)をする際、余った大根でオマケ的にカクテキを作ったことに由来しています。「弱者を助ける」という気持ちでもあります。でも今の社会は、この「カクトゥギ」の精神が減っている。そんな思いも込めて、この言葉をドラマに組み込んだのではないかと推測しています。

韓国では、『イカゲーム』についてあまりに多くの人が作品の分析・考察をしているので、最近では「もう分析はいいよ!」という声も上がっています(笑)。また「監督が『イカゲーム2』を作るのではないか?」「次はギフンがフロントマンになるのでは?」といった感じで、続編についての予測もたくさん出ています。その一方で「ここまで深読みされたら、もう2を作るのは無理だよ」という悲観的な意見も。いずれにしても、もしも作るとなったら監督は大変なのではないかなと思いますね。

もうすぐハロウィン。今年は韓国の街のあちこちに、緑のジャージや赤のジャンプスーツを着た人たちが出没することでしょう。

構成・文/上田恵子

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