2021.11.03
# 野球

大谷翔平選手も無視できない?米スポーツ界を席巻する「金融系オーナー」と「超データ思考」

ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手の大活躍もあり、例年よりもさらに注目された大リーグ。その30球団のうち、じつは10球団以上のオーナーがファンドマネジャーなどの金融業界関係者だ。野球に限らず、アメフト、バスケなど今や米国のプロスポーツ界は金融系オーナーが多数入り込み、データを重視する思考も浸透し始めている。投資マネーはスポーツの世界をどう変えたか? 米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏がレポートする。

『もしヘッジファンドマネジャーが野球チームのオーナーになったら』

大谷翔平選手の米大リーグでの大活躍とその裏でフィーバーするスポーツベッティング(賭け)については先に取り上げた(参考記事:「大谷翔平」大活躍のウラで急成長!100万ドルの賞金も稼げる米国「ファンタジースポーツ」事情)が、今開催中のワールドシリーズが終われば、いよいよMVPの発表が行われる。前評判通り大谷選手のMVP獲得となるかどうか、気になる人も多いだろう。
 
野球のマネジメントといえば、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という本が流行ったことがある。高校生のみなみちゃんが有名なピーター・ドラッカーのマネジメント理論を生かして、チームを甲子園に引っ張っていくストーリーだ。
 
でも米国のプロ野球界では、「もしファンドマネジャーが野球チームのオーナーになったら」という潮流が長い間主流だ。メジャーリーグベースボール(MLB)の全30球団のうち、オーナーが金融業界関係者というのが10球団は下らないのだ。
 
野球だけではない。バスケットボールのNBA、アメフトのNFL、アイスホッケーのNHLに至るまで、80年代以降米国プロスポーツのオーナーシップには金融事業の保有者や金融ファンドが多数入り込んでいる。スポーツと投資マネーの世界は実に緊密に結びついている。
 
例えば、野茂英雄、松坂大輔、澤村拓一など日本人投手が多く活躍してきたボストンのレッド・ソックス。

ボストン・レッドソックス所属の澤村拓一/Photo by Gettyimages
 

オーナーのジョン・ヘンリー氏は、商品取引のヘッジファンドで莫大な富を築いた人物だ。ニューヨーク・ヤンキース、マイアミ・マーリンズなどの保有を経て、2001年に投資家グループを組成して6億6000万ドルでレッド・ソックスを買収した。サッカーの英プレミアリーグ、リバプールのオーナーでもある。
 
また、昨年末のダルビッシュ有投手の放出が日米で衝撃を生んだシカゴのカブス。保有者のトーマス・リケッツ氏はネット証券大手TDアメリトレード(現在はチャールズ・シュワッブ傘下)創業者の息子だ。2009年の買収金額は9億ドル規模とされる。

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