摂食障害のイメージを誤認しないで

実際に摂食障害になるのは、女性が多いのだろうか?

「病院に訪れる人は、90%以上が女性です。ただ、最近の調査では、男性ももっといることがわかってきています。ですが、男性は受診しない人が多いようです」(山田医師)

兵庫医科大学病院の精神科医・山田恒医師 写真提供/山田恒医師

現在35歳である私自身が極端なダイエットを始めたのは、今から19年ほど前の高校生の頃。当時はダイエットブームだった。この約20年で、摂食障害の患者数に変化はあるのだろうか?

「この20年だと、実は全体数はそれほど大きく変わっていないというデータもあります。でも、摂食障害に対する理解が深まり、ちょっとおかしいな、まずいな、と気付いて受診する人が増えました。インターネット上で自傷行為を打ち明ける人が現れ始めたりして、メンタルクリニックの敷居が低くなったという時代背景もあります。

以前からテレビなどのマスメディアでは摂食障害について取り上げられることもあったのですが、報道するときの摂食障害に対するイメージに誤解があるように感じていました。異常に痩せすぎていることが特徴だとか、奇妙で変わった人たちだという切り取られ方をされることが多かった。

でも最近は、見た目では摂食障害だと判断が出来なかったり、ダイエットしすぎると摂食障害になってしまう可能性があるという認識など、誰もが罹る可能性がある身近な病気であるということがインターネットを中心に広まり、認知度・正しい認識が広まっていると思います」(山田医師)

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コロナ禍の心理は摂食障害を引き起こしやすい

コロナ禍になってから、「摂食障害が増えた」というニュースを目にするようになった。コロナ禍と摂食障害に関連性はあるのだろうか?

「とても影響がありました。摂食障害になる人は、たいてい最初に体重を減らそうとすること(ダイエット)から始まります。なぜ体重を減らそうとするかというと、“しんどい状況だから”。自分がハッピーじゃないから体重を減らそうとするんです。生活も充実していて、自分自身に満足していたら、わざわざ痩せて変わろうとは思わない。でも、学校生活や人間関係でうまくいかないことがあったり、自分自身に何かつまずきを感じた時に、『痩せたらハッピーになれる』という幻想が世の中にあるので、やってみたくなる

photo/iStock

ダイエットは体重の数字が減るとか分かりやすい結果が手に入るもの。特に子供たちにとって、自分の努力が数字としてフィードバックされるものって、勉強とダイエットぐらいなんです。勉強は結果が出るまで時間もかかるけど、ダイエットは短期間やって体重計に乗るだけで結果がわかる。それまで自分に自信がなく自己実現できないと感じていた人にとっては、それが麻薬のような快感を得るものになってしまうのです」(山田医師)

ダイエットは結果がすぐに数字でフィードバックされるものだからハマりやすくなる、という話に経験者の私はとても共感した。説明要らずで見た目にわかるからこそ、周りから「すごいね」「ダイエット頑張ったんだね」などと言われることで、もっと褒められたい気持ち、つまりもっと痩せたい気持ちになってくるのだ。