倉本聰が書き上げていた幻の新作『北の国から2021ひとり』、その衝撃の内容

碓井 広義 プロフィール

「幻の新作」と出会う日を

以上がこの日、会場で倉本聰本人が語った、『北の国から2021ひとり』のストーリーだ。田中邦衛という主演俳優の不在を承知のうえで、敢えて新作に挑んだ倉本に敬意を表したい。

ドラマの中の登場人物である黒板五郎。設定によれば、生まれたのは昭和10年である。それは倉本と同じだ。また40代で東京を離れ、富良野に住むことになったのも倉本と重なる。黒板五郎は「もう一人の倉本聰」であり、いわば「分身」だったのだ。

黒板五郎という国民的おやじが選択した「人生の終(しま)い方」には、86歳となった倉本自身の思想、特に死生観が強く反映されている。

会場で「台本を7稿まで書いたんですが、諸般の事情により映像化できなくなりました」と無念をにじませた倉本。もしもドラマ化されていれば、大きな反響を呼んだはずだ。

ここで「諸般の事情」をうんぬんしたくはない。どのような内容であれ、『北の国から』であるからには、フジテレビの了解なしに映像化は不可能だ。様々な事情が存在したのだろうが、ファンにとっても、フジテレビにとっても、実に残念な判断だった。

だが、それでもいつか、国民的ドラマ『北の国から』の結末となる、この「幻の新作」を見られる日が来るのではないか。そう信じて待ちたいと思う。

 

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