日本テレビ系で毎週土曜夜10時から放送されている中学受験ドラマ「二月の勝者」。最強最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人を演じる柳楽優弥さんのインタビューを公開したところ、「二月の勝者、楽しみにしています」「うちも二月の勝者を支えに、受験しました」といった反響をいただいた。第一志望に合格した家庭にも、思うような結果にならなかった家庭にも、それぞれの受験ドラマがあり、進学して終わりではない。「リアル二月の勝者」の世界を生きる人たちに取材し、過熱する中学受験の実態と、それぞれの本音を紹介する。今回は、長男が早慶大系列校に合格した家庭の物語。
受験が終わっても楽しみなドラマ
東京都内に住む会社員男性Aさんの長男は、早慶大系列のある中学校に進学した。Aさんの長男にとっては、手が届きそうな位置にあった第一志望の学校だった。
「受験の真っ只中に、二月の勝者を知って、全巻読んでいます。受験が終わった今も、懐かしいし、ドラマ化を楽しみにしていました。息子とドラマを見ながら、こんなことがあったな、と振り返り、こういう子がいた、そうそう、と共感しています。
黒木先生が本人をその気にさせるスイッチを探し、これをやれば上がると教えてくれるところが好きです」(Aさん)
長男は小学3年生の2月から、進学塾に通い始めた。
「地元の公立中は、荒れているとか学級崩壊とかまではいかないけれど、妻もいい印象を持っていなくて……。通常、塾では3年生の2月から4年生のカリキュラムを始めます。志望校は決めていなかったのですが、おぼろげに中学受験をしたほうがいいと思い、自宅から徒歩圏内で塾を探しました。2つあったうち、大手の塾にしました」
成績で分けないクラスを選択
こうして長男の塾通いがスタート。大手塾の、4クラスある中規模校舎だった。通常、成績によってクラスを分け、席順を変える大手塾が多い。「二月の勝者」で描かれるように、トップクラスをめざして勉強したり、クラス落ちしたり。友達と競争し、成績がまるわかりの過酷なシステムだ。
「4年生のうちは、成績で分けないクラスを希望しました。楽器とスポーツの習い事をしていて、塾通いと両立したかったからです。5年生からは成績順のクラスになりました。楽器は5年生、スポーツは6年生の夏まで続けました。テスト結果には一喜一憂しましたが、あくせくしないスタートでした」

Aさんは、長男の塾通いに積極的に関わった。会社の帰りに迎えに行き、勉強を見た。
「もちろん、妻が生活全般のサポートをしてくれます。算数は6年になると難しくて、私もたちうちできませんでしたね。教えていて、よくバトルになりました。
6年生で厳しい時期もありました。ゴールデンウイークのころ、数回のテスト結果が悪く、クラスを落ちてしまいました。激しい感情を見せない息子も、友達と離れるのも寂しいし、悔しかったようで、2時間泣いてトイレにこもっていました」