北海道のチーズに、長野のジビエ、新潟のエビカゴ漁……。日本の豊かな食文化を守り、次世代へ繋げるため、行動を起こしている人や企業があります。北は北海道から、南は沖縄まで、日本各地のサステナブルフードアクションを集めました。今回は、東日本のアクションをご紹介!
【北海道】
グレイトフルファーム
有機酪農のミルクを使用、完全無添加のチーズ。
北海道東部の太平洋に面し、1万5000haの農地に人口の倍以上の乳牛がいる“酪農のまち”、浜中町。ここで2016年からチーズづくりを行っているのが、〈Grateful Farm〉だ。その母体である松岡牧場では、牛たちを放牧しながら無農薬の牧草で飼育している。
ストレスなく育てられた牛からとれる良質なミルクと、塩のみを使用し、保存料・合成着色料を一切使わない完全無添加のチーズは、子どもでも安心して食べられる。特徴的なのは、年間を通してチーズ製造の工程を変えないこと。例えば、夏の放牧時期に作るチーズは黄色の色みが強くなるが、それは、放牧地に生える黄色い植物を牛が食べるから。「季節によって製品に違いが出ても、それを面白がってもらえたら。そのほうが牛たちにも負担がかからないし、自然な方法だと思うんです」と、代表の松岡慶太さん。
チーズはラクレットやモッツァレラ、さけるチーズなどがある。また、〈Grateful Farm〉では“シマフクロウが自由に行き来できる森”を育むプロジェクト「WAKKA」の運営にも携わり、フィールドの提供や周辺酪農家との連携を行いながら、シマフクロウを軸とした自然と生態系の保全を目指している。
【青森県】
アプローズン
酸化しやすい赤い果肉のりんごを急速冷凍。
青森県黒石市にある冷凍加工会社〈bloomin〉は、赤い果肉のりんごをスライスし、バラの形にして急速冷凍した「アプローズン」を開発した。
「赤い果肉のりんごは酸化が進みやすく、加工が難しいため、りんごの売り先に困った農家さんが木を切って改植に向かっているという現状を知りました。無添加のりんごの味をそのまま届けられたらと思い、急速冷凍することにしたんです」と、代表の黒田和瑚さん。ドリンクに浮かべられたアプローズンは、花が散るように少しずつほどけていく。
【秋田県】
木能実
ドライフルーツで一次産業を応援!
〈木能実〉は、秋田県能代市にあるナッツとドライフルーツの専門店。オーナーの高濱遼平さん、奈保子さん夫妻は、「秋田には頑張っている果実農家さんがたくさんいらっしゃいます。ドライフルーツで秋田の果物のおいしさを伝えたい」と話す。
昨冬の豪雪被害を受けたりんご農家との出会いから、今後はそのりんごを活用したドライフルーツづくりにも取り組むという。「見た目が悪くても、傷があっても、その部分を取り除けばいいから」。この秋から冬に商品化される予定だ。