クリスマスディナーは、卵の乗ったワンタン麵

食生活も大きく変わりました。これまでのような外食は当然できません。クリスマスの定番だったフライドチキンやケーキも無し。もちろんサンタクロースからのプレゼントも無しです。何度か枕元に、クランキーチョコが置かれていることはありましたが、私はそのチョコが大好きなのでとても嬉しかったです。

 

小さな家に引っ越して最初のクリスマスのディナーは、卵をのせたワンタン麺。両親は「今年はこれが精いっぱいやけど大丈夫やろか?」と心配していたそうですが、私たちは大喜びです。だってワンタン麺に卵がのったやつなんて、美味しいに決まってるじゃないですか! きょうだい4人が「美味しい、美味しい!」とワイワイ食べる姿を見て、両親は心底ホッとしたそうです。

普段の食事は、子どもたちがお腹いっぱい食べられるよう、母が一生懸命工夫して用意してくれていました。たとえば豚のしゃぶしゃぶ(私はつい最近まで、普通はしゃぶしゃぶ=牛肉ということを知りませんでした!)。もやしをたくさん入れてかさ増しして、豚肉と一緒に食べるのです。あとは父が名付けた「ホロホロ」。卵を溶いて、しょうゆと塩を少し加え、熱したフライパンに入れてお箸でサッとかき混ぜ、半熟の状態に仕上げてお皿に。ご飯によく合う、今でも大好きな一品です。

うちには育ち盛りの男子が2人いたため、親は無理して肉を買っていましたが、私はお米さえあれば十分だったので、焼き肉のタレをご飯にかけては「うま! 焼肉の味や!」と、モリモリ食べていました! こうして言葉にするとなんだか気の毒な感じになってしまうかもしれませんが、実際は賑やかすぎる食卓だったおかげで悲壮感はゼロ。よく「食事は大好きな人と楽しく食べるのが何よりのごちそう」と言いますが、本当にその通りだなと思いました。

高橋メアリージュンさん2歳の時の写真。この10年近くのちに貧しくなっても、いつもメアリージュンさん家族には笑顔があった 写真提供/高橋メアリージュン