バブル崩壊、山一證券破綻、リーマンショック。幾多の危機を乗り越え、4億円近い資産を築いた元棋士の桐谷広人氏(72歳)は、この7月、ダイヤモンド社より株の入門書を2冊同時に刊行した。それが、『一番売れてる月刊マネー誌ZAiと作った桐谷さんの株入門』『一番売れてる月刊マネー誌ZAiと作った桐谷さんの米国株入門』だ。
いかにして、桐谷氏は株主優待と配当だけで生計を立てる“農業的”投資家になったのか。37年に及ぶ波乱万丈の投資人生を赤裸々に語ってもらった。

「株は永久に上がる」と思っていた
――桐谷さんは棋士時代に株を始めたそうですが、何かきっかけがあったんですか?
桐谷:25歳でプロ棋士になった私が、株と出会ったのは34歳の時。将棋を通じて証券会社の方と知り合いになったことがきっかけで、訳も分からずに仕手株を買ったら1ヵ月もしないうちに5万円ほど儲かりました。
それから色んな株を買うようになったわけですが、バブルの時代で儲かるものだから、株に注ぎ込む金額がどんどん増えていきました。当時は「株は永久に上がり続けるものだ」と心の底から信じ切っていましたし、その刷り込みはリーマンショックでどん底に突き落とされるまで消えませんでした。