2021.11.10
# 中国

日本の「ガチ中華」から、「在日中国人」社会で起きている"巨大な変化"が見えてきた…!

中島 恵 プロフィール

同店の火鍋の特徴は『竜頭灶』(ロントウザオ)と呼ばれる竜の頭の形をした鍋を使い、四川省産の花椒(中国山椒)や唐辛子などを使ったオリジナルのスープをベースにして、四川省の鴨血(ヤーシェ)、肉、野菜などをグツグツ煮込むことだ。鴨血は日本では食べない食材だが、鴨の血を固めたプリン状の食べ物で、見た目は色の濃いコンニャクのような形。ビタミン、鉄分、ミネラルなどが豊富な食材で、中国では四川省を始め、上海以南の地方でも食べられている。

中央が火鍋。左下の茶色い食材が鴨血(写真は花沢氏提供)
 

ほかに、老鷹茶(ラオインチャ)という四川省のお茶や、羊肉串などの串焼き料理に振りかけるスパイス、調味料を中国から取り寄せているだけでなく、店内の内装やコンセプト、サービスも中国にある店舗とまったく同様だ。

しかし、それだけではない。同店の特徴は中国で成功している店と同じ宣伝手法を用いている、という点にある。

花沢氏によると、昨今、中国の飲食業界では、有名俳優やKOL(キー・オピニオン・リーダー)などを使って、SNSで動画を拡散し、一気に多店舗展開することが一般的になっている。四川省の本部でもこの手法で顧客を囲い込み、中国中に店舗を拡大していったが、日本で新宿に1号店をオープンする際も、中国の有名俳優である佟麗娅 (トン・リーヤー)や潘粤明(ファン・ユエミン)、劉劲(リウ・ジン)、歌手のalanといった芸能人や、中国で活躍する日本人俳優の矢野浩二氏などがメッセージ動画を寄せた。

その動画をウィーチャットなどいくつかのSNSを使って流したことにより、当初は日本に100万人近く住んでいる在日中国人の間に拡散。その後、日本の芸能人やスポーツ選手のSNSでも取り上げられるようになり、昨年7月のオープンから今年の10月末までに、系列店の『灶門坎 卤味烧烤』(ザオメンカン ルーウェイシャオカオ)と合わせて7店舗をオープンさせた。中国本部が全面的にバックアップしたからこそできた大がかりな宣伝活動で、花沢氏によると、今年の年末までにさらに20店舗をオープンさせる予定だという。

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