落合博満、ロッテ時代の「打てない時期」を支えた稲尾監督の「名手腕」がスゴすぎる…!

週刊現代 プロフィール

大分の漁師の家に、7人兄妹の末っ子として生まれた稲尾は、家業を継ぐことを期待され、船の櫓を漕いで足腰を鍛えた。

当然、甲子園への出場経験はなく、西鉄へも当初は打撃投手として入団している。戦力としては計算されていなかった。

いっぽう、奇しくも同じ7人兄弟の末っ子として秋田に生まれた落合は、高校にはほとんど通わず、映画館で時間を潰した。

 

大学に進学するも、野球部の上下関係に嫌気が差して早々と中退。東芝に臨時工として入社し、野球部で頭角を現してロッテに入団したときには、25歳になっていた。

「自分の感性だけを信じ、腕一本、バット一本でのしあがってきたという点で、稲尾さんと落合はお互いを認めあっていた。だからこそ、他人には立ち入れないような信頼関係が生まれたのではないか」(前出・広野)

落合夫妻と交流のある女優・冨士眞奈美は、グラウンド外の二人の関係を垣間見たことがある。

ある夜、娘を連れて都内の落合邸を訪ねると、テーブルで稲尾と落合が鍋をつついていた。

「二人とも次の日試合だというのにすっかり酔っ払っていて、あの落合さんが『監督、監督』と言いながら、せっせと鍋奉行をしているんです。

終いには、稲尾さんがソファにゴロリと横になり、寝てしまった。その様子を落合さんは愉快そうに眺めているんです。『ああ、本当に稲尾さんのことが大好きなんだなぁ』と思いました」

「一匹狼」の落合博満は、キャンプ中も独自の練習を取り入れたいと言い、周りを困らせた。それに、稲尾は「好きなようにやられてやれ」とあっさり受け入れる。その具体的なエピソードは後編の「落合博満、ロッテ時代の「三冠王」のウラで…支えた監督の「神対応」がヤバすぎた」で明かす。

『週刊現代』2021年11月6日号より

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