落合博満、ロッテ時代の「三冠王」のウラで…稲尾監督の「神対応」がヤバすぎた

前編の「落合博満、ロッテ時代の「打てない時期」を支えた監督の「手腕」がスゴすぎる…!」では、中日を53年ぶりに優勝に導いた落合博満に、自身を育て、深い信頼関係で結ばれた、名監督の存在があることをお伝えした。後編でも引き続き、その絆の詳細についてをお伝えする。

「バットを振りたくない」

稲尾の就任1年目は、惜しくもリーグ2位に終わった。

そして明くる'85年のキャンプ前、落合は打撃コーチの広野に、驚くようなことを切り出した。

「俺、キャンプ中はバットを振りたくないんです」

広野は眉をひそめた。

「コイツ、また変なことを言い出したな、と思いました。なにか意図があることはわかるのですが、フォームを固めるのがキャンプの目的。『打撃コーチとして、承服しかねる』と伝えたものの、落合は頑として『振りたくない』と言う。困りました」

表
 

すっかり手を焼いた広野が相談を持ちかけると、監督の稲尾はこともなげに言い放った。

「ふむ、オチがそんなことを言ったか。好きなようにやらせてやれ!」

しぶしぶ折れざるを得なかった広野だが、程なくして、バットを振らない落合の「真意」に気がつくことになる。

「落合の一挙手一投足をじっと眺めていると、朝から晩までノッカーが打ったボールを追いかけ、守備練習をしているんです」(広野)

より一層の成績を残すには、下半身を強化する必要がある。しかし、落合は走り込みが好きではない。そこで、守備練習によって下半身を鍛えようとしていたのだ。

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