落合博満、ロッテ時代の「三冠王」のウラで…稲尾監督の「神対応」がヤバすぎた

週刊現代 プロフィール

「奔放にやっているように見えて、ひとつひとつの行動の意味を綿密に考えている。命じられてやる練習よりも、よほど効果があります。そういうところも、稲尾さんが落合に信頼を置く理由なのだと思いました」(広野)

時おり出場したオープン戦でもバットを振らず、下半身の強化に明け暮れた落合だったが、その成果はシーズン開幕と同時に爆発した。

鬼のように打ちまくり、シーズンを通して残した数字は打率・367、52本塁打、146打点。圧倒的な成績で、三冠王を獲得したのだ。

「あの前後のオチさんは、打席に立つ姿がものすごく大きく見えました。ベンチで隣に座る稲尾さんが『オチ、そろそろ頼むわ』というと、『わかりました』と立ち上がり、一発打って帰ってくる。落ち着き払っていた」(元ロッテの愛甲猛)

 

落合が打つと稲尾は細い目をいっそう細めて手をたたく。落合は落合で、自分を信じ、どっしりと構えている稲尾の存在に、すっかり心を開いていた。

翌'86年も打ちまくった落合は2年連続の三冠王という金字塔を打ち立てたものの、チームの順位は4位。またも、優勝はならなかった。

師匠の無念を胸に

そして、いい時間は長くは続かない。この年をもって、稲尾の監督退任が決まったのだ。

「稲尾さんのいないロッテに、自分がいる必要はない」

落合は報道陣にそう言い放った。それからまもなく、牛島和彦ら4選手との交換トレードで、落合は中日にトレードに出されることが決まる。

「落合が三冠王をとったのが、一番うれしかった」

稲尾はそう言い残し、ロッテを去った。

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