2021.11.16
# 戦争 # 日本

「満州某重大事件 張作霖を爆殺した関東軍のどす黒い目的」

関口宏、保阪正康のもう一度! 近現代史(1)
関口 宏, 保阪 正康 プロフィール

「河本さん、よくやった」

関口 こうした海外の報道もあり、田中首相は真相の公表と責任者を軍法会議にかけ、処分することを決意し、天皇にその旨を上奏しますが、これに対して陸軍が猛反発します。その論理は、「陸軍の非を天下にさらすことは威信に関わる」からというのです。

保阪 陸軍は、「軍がやったということになれば政府も立場が悪くなる」と言って脅した。

本来、田中総理は国として事件を公表し、報告書を書かなければいけなかったのに、陸軍の力を恐れてそれをしませんでした。

河本大作を英雄視して掲載の昭和7年の出版物

関口 田中首相は陸軍を処罰するどころか、報道規制を敷いています。張作霖爆殺事件と言わず、満州某重大事件と報じられるようになる。元老の西園寺公望公や、野党が政府を追及しますが、結局河本大作大佐を厳重処分せず、停職処分で済ませてしまいました。

 

保阪 本来ならテロによる暗殺ですから、軍法会議にかけ、死刑に相当してもおかしくないと思います。しかし陸軍参謀本部の中堅幕僚たちが、河本支援に回るんです。私の調べた範囲ですが、河本がその後、東京に戻ったとき、のちの総理大臣の東条英機が、「河本さん、よくやった」と言って、握手している。それが当時の軍人たちの共通理解でした。河本は軍の中ではむしろ、英雄視されるんです

関口 その後この河本という人はどうなったんですか。

保阪 事件のあと、軍を離れますが、満州で関東軍の意を受けた会社の社長を務めたりして、財政的に関東軍を支えるような役割を果たしています。

次回は『異能の将校・石原莞爾の世界最終戦争論と「一夕会」』を明日公開!
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735名が犠牲になった惨劇 「尼港事件」と日ソの衝突
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