「子どもたちをSNSで世界につなげたい!」に起業のプロは何と答えたか?

13歳未満でも安心できるSNSを目指す
これまで52の事業を生み出し、『起業は意志が10割』の著者でもある新規事業家の守屋実氏が、2021年9月~10月に「守屋実起業塾」を開講した。毎回、長時間にわたり真剣勝負の事業プレゼンテーションと意見交換がおこなわれた。参加者のお一人、本山勝寛氏は、14年勤務した日本財団から独立して、本年11月に子ども向けSNSを手がける株式会社4kizと開発資金を募るクラウドファンディングを立ち上げた。いよいよ事業をスタートさせようとしている本山氏と、塾長・守屋氏との特別対談をお届けしたい。東大卒、ハーバード大学院修士課程修了、しかも信頼性も知名度も高い大組織に所属しながら、なぜ起業に打って出るのか。その意志と事業精緻化のプロセスを読み取っていただきたい。

世界中の子どもによいコミュニティを届けたい

本山 私は日本財団で14年間勤め、現在は全国100ヵ所の子どもの居場所支援を行う事業責任者をしてきました。プライベートにおいても、自身の生まれ育った家庭環境が厳しいものであったり、現在築いた家庭では5人の子どもに恵まれたりと、子どもに対する強い思いを持ち続けてきました。

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こうした思いが、「世界中の子どもによいコミュニティを届けたい」という意志につながり、子どものためのSNSを立ち上げるという構想に結びついていきました。現在、FacebookやTwitterなどのすべてのSNSには、13歳未満は使えないという利用規約があります。つまり、12歳以下の子どもたちが使えるSNSは世界中にまだありません。しかし、コロナ禍で、子どもたちがインターネットを使うことが当たり前となり、そのニーズは急速に高まっていると考えています。

守屋 起業塾で本山さんのプレゼンテーションを初めて聞いた時、「起業する前から、すでに起業しているに近い」ということを感じました。起業はあくまで手段です。「何をしたいか」が明確であることが重要です。それが僕のいう「意志」。
10年間子どものことを考え続けて、SNSの構想にたどり着いているという点で、本山さんの「Day1」は、その他の起業したいと考える人の「Day1」ではありませんでした。つまり、すでに「Day3650」にまで高まっている状態だったわけです。スタートアップの域を抜けているような初速でスタートが切れるな、と感じました。

本山 嬉しいお言葉をありがとうございます。日本財団では、「子ども第三の居場所」という地域コミュニティを全国で100ヵ所作り、子どもたち同士をオフラインでつなげてきました。しかし、それでも関われる子どもには限りがあります。SNSで世界とつながれば、10億人の子どもたち同士がつながることができる。私自身、SNSでたくさんの人と出会い、チャンスを得てきました。今は大人しかその恩恵を得ることができませんが、子どもにもその機会を提供できるよう子ども向けSNSを設計したいと考えています。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大