世界中の子どもによいコミュニティを届けたい
本山 私は日本財団で14年間勤め、現在は全国100ヵ所の子どもの居場所支援を行う事業責任者をしてきました。プライベートにおいても、自身の生まれ育った家庭環境が厳しいものであったり、現在築いた家庭では5人の子どもに恵まれたりと、子どもに対する強い思いを持ち続けてきました。

こうした思いが、「世界中の子どもによいコミュニティを届けたい」という意志につながり、子どものためのSNSを立ち上げるという構想に結びついていきました。現在、FacebookやTwitterなどのすべてのSNSには、13歳未満は使えないという利用規約があります。つまり、12歳以下の子どもたちが使えるSNSは世界中にまだありません。しかし、コロナ禍で、子どもたちがインターネットを使うことが当たり前となり、そのニーズは急速に高まっていると考えています。
守屋 起業塾で本山さんのプレゼンテーションを初めて聞いた時、「起業する前から、すでに起業しているに近い」ということを感じました。起業はあくまで手段です。「何をしたいか」が明確であることが重要です。それが僕のいう「意志」。
10年間子どものことを考え続けて、SNSの構想にたどり着いているという点で、本山さんの「Day1」は、その他の起業したいと考える人の「Day1」ではありませんでした。つまり、すでに「Day3650」にまで高まっている状態だったわけです。スタートアップの域を抜けているような初速でスタートが切れるな、と感じました。
本山 嬉しいお言葉をありがとうございます。日本財団では、「子ども第三の居場所」という地域コミュニティを全国で100ヵ所作り、子どもたち同士をオフラインでつなげてきました。しかし、それでも関われる子どもには限りがあります。SNSで世界とつながれば、10億人の子どもたち同士がつながることができる。私自身、SNSでたくさんの人と出会い、チャンスを得てきました。今は大人しかその恩恵を得ることができませんが、子どもにもその機会を提供できるよう子ども向けSNSを設計したいと考えています。