2021.11.27
# エンタメ # 本

かが屋・加賀翔が語り尽くす「かが屋コントの“やさしい笑い”の源流」について

小説『おおあんごう』から見えるもの
ラリー遠田 プロフィール

——それくらい地元にはお笑い文化がなかったと。そこから芸人になるというのは大変な決断じゃないですか。

だから、僕らのネタでもはっきりしたボケとツッコミがないネタが多いんです。それは、岡山の人にも笑ってもらいたいというか、そういう状況のおかしさとかだったら笑ってもらえるんじゃないか、っていうのが根底にあるのかもしれない。

あとは単に僕の苦手意識があるのかも。子供の時に友達にツッコんだら「出禁」になったので、以来、ツッコんじゃいけないんだ、と思ってしまっている(笑)。

 

「やさしい笑いの時代」に思うこと

——最近のお笑いの世界では、あまり激しくはツッコまず、少しヘンなことを言う相手も受け入れるというネタが増えています。「やさしい笑いの時代が来た」とも言われるなか、かが屋はその源流のひとつだと思っていたんですが、ネタのなかに強いツッコミがないのは、「出禁」を恐れてのことだったんですね(笑)。

そういうことです(笑)。

ただ、それだけではないかもしれません。コントを作るうえでひとつ心がけているのが、どんな境遇にいる人が登場しても、最後は幸せな結末になるようにしたい、ということです。僕らのコントのなかには、ちょっと可哀想な境遇にいる人や、ちょっとしたすれ違いで関係がおかしくなっちゃった人、あるいは少し感覚がズレているのに、それに気づかない人が登場します。

彼らの考え方や振る舞いは可笑しさを含んでいるものなんだけど、それをそのまま笑い続けて「残念な人」のままで終わると、なんだか後味がよくない気がする。最後には彼らがちょっとだけ幸せになるように終わらせたいと思っているんです。それを観ているお客さんも、ちょっと異質な人たちを、最後は「でも愛すべき人だから、幸せに終わってよかったね」と思えるようにしたい。

現実世界でも、ちょっと異質な人を突き放したり嫌悪感を抱くよりも、「こういう人もいていいよね」と受け入れたほうが、人生も社会も豊かになると思うんです。

関連記事