2021.12.05
# ジェンダー

同性婚したKanさんに「家族ってなんですか?」と聞いたら、意外な答えがかえってきた

橘みつ「Kanさんと再会する」2

自分の実家に居心地の悪さを感じながら過ごした経験から、「家族」について疑問に思った橘さんは、大学時代からの友人で、今年イギリス人のパートナーと同性婚を挙げたKanさんに、なぜ結婚するに至ったかと尋ねました。

Kanさんが結婚に踏み切った背景には、コロナ禍と日本の法律の壁がありました。同性婚が認められない日本では、パートナーのTomさんが「家族」ではなく「旅行者」としてしか認められず、1年以上も会えない日々が続いていたといいます。

一方イギリスは、異性同士の結婚とほぼ同じ権利を持てる「シビル・パートナーシップ」を経て、2014年に同性間同士の結婚が認められています。

そんな事情もあって、単身でパートナーのもとに飛び立ったKanさん。インスタグラムに投稿されたふたりの挙式の写真は、どんな偏見やトゲも消してしまえそうなほど純粋無垢な幸せに満ちていました。

前編:「同性愛者が苦悩する…「ゲイは認めても、結婚はダメ」な日本の、理不尽すぎる現実」

「日本の法律」が許してくれない

意識を画面に戻し、別の雑誌で話していたエピソードについて聞いてみる。

「どうしてそんなにイギリスでの結婚にこだわるの? 渋谷でできるじゃん!…って言われたことがあったの?」

彼らが渡英してまで叶えた法律婚は、「愛の象徴」を超えた意味があるのに! と、読みながらひとりで悔しい気持ちになったことを伝えた。

「僕とTomは実際に結婚できないことの不利益が大きかったから、日本に居続ける選択肢さえ無かった」

Photo by Visuals of Scotland結婚式でのKanさんとTomさん(Photo by Visuals of Scotland)

Kanさんは他でも話してきたように淡々と、でもすごく悔しそうに説明してくれた。渋谷区の条例でパートナーだと認められても国の法律では認められていないから、Tomさんは「配偶者」扱いされないし、ビザも下りない。旅行者/配偶者、その線を引くのは彼らの想いの強さではなく、国の定める法律だ。

ツッコミどころはあれど、その発言者がなぜそう言ったのか、なんとなくはわかる。キツい言い方だが、「結婚できなくたって一緒に居ればいいだけでしょ」と言えるのは、万が一の危機を感じる場面が無いということでもある。

たとえば他人に関係性を説明する機会があったとしても、異性間なら「交際相手です!」の一言で済む場面が多いだろう。この時点で置かれている前提が違うので、想像がつかないのも当然だと思う。

 

ただ、その感覚を彼らに適用しようというのはちょっと無理がある。同性同士だと「お友達(=恋人ほど親しくない関係)じゃないの?」というワンクッションをどうしても挟まれがちだし、交際自体がそもそも理解されづらい。

いちいち説明すること自体が精神的・時間的にコストだし、緊急時にいちいちそんなことやってられるだろうか。普段なら「余計なお世話だわ」って片付けられたとしても、実際問題そうはいかない場面もあるのだ。

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