殺害された市民は累計1281人に…ミャンマー民主勢力が軍政に攻勢を宣言、爆弾・銃撃事件が激化中
ミャンマーで軍政への抵抗運動を続けている民主派勢力の「国家統一政府(NUG)」は11月15日に軍や警察に対してNUGの武装部門にあたる「国民防衛隊(PDF)」による攻撃を激化させることを明らかにし、各地で戦闘が激化している状況が独立系メディアなどによって伝えられる事態となっている。
一部報道では14、15日両日だけで兵士や警察官など約70人がPDFメンバーらの攻撃で死亡したという。
こうした事態に対し軍政は各地で反撃するとともにオートバイに乗ったPDFによる銃撃を未然に阻止するためとして、「男性が2人以上乗車したバイクは撃たれる可能性がある」との警告を出すなどして警戒を強めている。

すれ違いざまに車内から銃撃
インターネット上のSNSなどで14日過ぎからアップされている複数の動画には、乗用車の右側座席窓から小銃を外に出して、通りすがりの建物に向かって一斉に射撃してその後スピードを上げて現場を去る「ヒット・アンド・ラン」攻撃の様子が記録されている。
車内から射撃している人物は特定を避けるために発砲する腕しか映されていないがPDFのメンバーによる奇襲攻撃で、標的として狙った建物は警察や軍の施設という。こうした攻撃で兵士や警察官に死傷者が相次ぐ状況になっている。
銃撃を受けた建物などからはその後兵士らが飛び出してきて逃げる車両に向かって無差別に発砲、反撃してきたという。
こうした軍や警察への攻勢をPDFが強めていることに関してNUGは今後攻撃をエスカレートする計画であると独立系メディアなどは伝えている。
今回の攻勢宣言は9月7日にNUGの暫定副大統領であるがドゥワ・ラシ・ラー氏が軍政に対して「国民は軍事テロリスト支配に対する戦いに参加することが求められている。これは市民による正当な革命であり全国規模で軍の拠点などに対する攻撃を開始する」とした事実上の「宣戦布告」に次ぐものとされ、作戦名はミャンマー語で“飲み込む”を意味する「ピアン・フルワル・アウン」と名付けられた。
15日には中心都市ヤンゴンだけでPDFは14件の攻撃を仕掛け、10発の爆弾が使用された結果兵士少なくとも8人を殺害したとしている。
またヤンゴン北部のフタンタビン郡区では15日午前11時半ごろ、PDFが地元警察署を攻撃して警察官3人が死亡したほか、タケタ郡区タムリン橋付近で警戒中の治安部隊を襲撃して兵士3人、交通警察官2人を射殺したとしている。