2021.11.30

どうする脱炭素!? 地球を温暖化から救うために知っておくべき「二酸化炭素回収技術」最前線

サイエンスZERO プロフィール

そこにもう一つ、エネルギー消費を減らす画期的なアイテムを組み合わせようとしています。

その秘密兵器は、金沢大学の児玉昭雄教授が開発した、蜂の巣のような「ハニカム構造」のローター。空気が通りやすく、表面積が大きいハニカム構造に、新しいアミンを塗ることで、回収・分離するためのエネルギーを大幅に下げようと言うのです。

ハニカム構造のローター/NHK提供
ハニカム構造のローター/NHK提供

2025年以降、このシステムを大型化して実証実験を行い、年間約550トンの二酸化炭素の回収を目指しています。東京ドーム13個分の森が1年間に吸収するのと同じ量の二酸化炭素を減らすと見込まれています。

 

二酸化炭素を通す不思議な極うす膜

九州大学の藤川茂紀教授が開発したのは34ナノメートルという驚異の薄さの膜。膜の主な成分は、コンタクトレンズなどで使われる「シリコンゴム」。この膜に空気を送ることで二酸化炭素を集めることが出来ると言います。

二酸化炭素を通す膜/NHK提供
二酸化炭素を通す膜/NHK提供

藤川教授は、二酸化炭素を通して集めることができる不思議な膜の仕組みをこう説明します。

「二酸化炭素と“相性が良い”材料で膜を作ることで、二酸化炭素だけが通っていきます」

相性が良いとはどういうことでしょうか。二酸化炭素を構成している炭素と酸素は、電気的にそれぞれプラスとマイナスに偏った状態です。そこに電気的に相性が良い膜があると、膜のプラスの場所に二酸化炭素のマイナス、膜のマイナスに二酸化炭素のプラスが引き寄せられるため、二酸化炭素は膜にはじかれず、吸い寄せられるようにして膜を通ることができるのです。

NHK提供

また、膜の薄さも重要なポイントで、厚ければ二酸化炭素が通過するのに時間がかかりますが、薄いとたくさん回収することができるため、食品用ラップのおよそ300分の1という究極の薄さを実現したのです。

集めた二酸化炭素は、特殊な変換ユニットに組み込むことで、「エタノール」や「エチレン」などの「資源となる化合物」に変えて活用することも想定しています。「変換ユニット」と「極うす膜」をセットにして、どこでも手軽に二酸化炭素を回収しながら資源に変えるシステムの開発を目指しています。

「化学薬品とか高温高圧の環境を作らなくて済むシンプルな構造。低コストを実現する可能性は高いと思います。」(山田さん)

村木さんも、「エタノールなどの資源に変えることができれば、ロケットやF1レーシングカーの燃料などにも使えるのではないでしょうか。使い道はたくさんあると思います」と期待を寄せています。

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