いまも残る「エイズ患者」への偏見は、こうして起こった…「印象操作」の深すぎる罪

35年前のこととは思えない

このコロナ禍で、ウイルスに関するデマや感染者への偏見が報道されていたが、じつはこれと同様のことが、いまから35年前にも起こっていた。日本で初めてエイズに感染した女性に対する誤報が発端となり、その後、加熱する報道合戦によって、無知に加えたデマと偏見がつくられていく。

【前編】「いま明かす、35年前の「エイズ・パニック」あの時の日本で起こっていた悲劇」

「空気感染するぞ!」

〈ホモだけが、かかるがん〉(毎日新聞、'81年7月5日付)
〈ホモ愛好者に凶報〉(朝日新聞、同日付)

差別表現を用いたこれらの記述は、後にエイズと確認される病気を最初に報じた記事の見出しである。

男性同性愛者だけがかかるというのは明確な誤りであるが、この時期にサンフランシスコやニューヨークなどのゲイ・コミュニティの中で感染が拡大していたこともあり、メディアはそこに焦点を当て、煽った。

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その後、毎日新聞は〈「免疫性」壊す奇病、米で広がる〉('82年7月20日付)という記事において、アメリカでは1年間に184人が「奇病」で命を落としていて、そのほとんどが男性同性愛者であると伝えている。

結果としてこうした報道が、「エイズは男性同性愛者しか感染しないから自分には関係ない」という誤認を日本人に植え付けた。前出の繁内氏はこう振り返る。

「当時、一番ショックだったのは馴染みのスナックに行ったときのことです。旧知のお客さんが『このビルの3階にゲイの店があるらしい。ウイルスが建物の空気ダクトを通じてばら撒かれるかもしれんな』と言ったんです。

今でこそ私はゲイだと明らかにしていますが、当時はゲイだと判明したら社会的に抹殺されるほど差別的な扱いを受けていました」

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