2021.12.04
# ビジネス

日本人が知らない、養豚の「残酷な現実」…日本ハムが“改善の草分け”になるか?

消費者も無関係とは言えない

「豚小屋」という言葉がある。当然、豚を飼育する小屋のことだが、小さくて汚い家や部屋の例えでもある。また、ひどく劣悪な環境の刑務所などの意味で使うこともある。

しかし、本来、豚はきれい好きだ。豚はスペースさえあれば餌を食べる場所からできるだけ離れた場所に糞をする。つまり衛生的な場所で暮らしたいという欲求を持っている。

子供を産むときは心地よい巣を作るし、群れを作り、行動をともにし、子育てを分担したり、他の豚の子供の面倒を見ることも珍しくはないという。

では、なぜ狭くて汚い場所を豚小屋というのか。それはひとえに人間がそういう環境で豚を飼育しているイメージがあるからだろう。

「ストール飼育」の劣悪な環境

日本の養豚場の90%が採用している「ストール飼育」という飼育方法がある。妊娠ストール、分娩ストールという豚の拘束檻(おり)のことで、肉用にされる子豚を産むための母豚が入れられる。特に妊娠ストールは拘束期間が長いことから問題視され、世界中の養豚場が廃止し始めている。

日本国内の妊娠ストールでの飼育例(アニマルライツセンター提供)
 

母豚たちは、後ろを振り向くことも、真横に首を動かすこともできない。当然、歩くことなどできない。地面はコンクリートだ。母豚は人工的に受精させられ、妊娠ストールに入れられ、妊娠期間の100日あまりを過ごす。何もすることがなく、時々落ちてくる餌を食べるだけだ。本来、豚は日中の75%の時間を土壌の探索や採食に費やすのに、飼育下では餌の時間は15分程度で終わってしまう。

なぜこのような状況下で豚を飼育するのか。それはなるべく安く消費者に豚肉を提供するために効率化が最優先されているからだ。糞尿を処理しやすいよう排泄の場所を定位置で固定させることができる。

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